大阪府は、自転車が加害者となる交通事故の大幅な増加を受けて「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定しました。
それに伴って「自転車損害賠償保険等への加入」が義務化されたものの、果たして自分が義務の対象なのか分かっていない人も多いようです。
自転車保険は月額100円程度から加入できるので、自転車に乗る場合はぜひ利用しましょう。
そこで今回は、どのような人が義務の対象なのか詳しく解説します!
平成28年4月1日、大阪府では自転車の安全で適正な利用を促進するために「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が制定されました。
それに伴って、平成28年7月1日から自転車による交通事故の賠償責任を補償する保険である「自転車損害賠償保険等への加入」が義務付けられました。
では、誰に加入義務があるのでしょうか。
府外からの通勤・通学者も義務化の対象なので注意が必要です!
自転車で大阪府を走行する人は自転車保険加入義務の対象!
大阪府が平成28年7月1日に制定した「自転車損害賠償保険等への加入」の義務対象者は、基本的には“自転車で大阪府を走行するか”で決まります。
そのため大阪在住かどうかは関係なく、他府県に住んでいても自転車で大阪府を走行場合は義務の対象になります。
しかし、自転車で大阪府をする人すべてが義務の対象になるわけではありません。対象になるのは自転車で大阪府を通る人の中で、
- 自転車利用者(未成年者及び業務のために自転車を利用する者を除く)
- 保護者
- 事業者
- 自転車貸付業者
- 自転車小売業者
に限られます。
対象者 | 義務 / 努力義務 |
---|---|
自転車利用者 | ◯ |
保護者 | ◯ |
事業者 | △ |
貸付業者 | △ |
小売業者 | △ |
※◯:義務 △:努力義務
大阪府の自転車保険加入義務の内容をチェックしよう!
ここでは実際に誰が対象となっているのか見ていきます。
条例の該当箇所も抜粋してあるので、詳しく知りたい方はそちらも参考にしてください。
自転車利用者の加入義務について
自転車に乗る人は、自転車損害賠償保険等に加入する義務があります。
ただし、未成年者と業務でのみ自転車を利用する人は “自転車利用者”には入らないので、義務化対象外となります。
以下に自転車利用者の加入義務についての条例を抜粋したので、チェックしてみましょう!
自転車条例抜粋
自転車利用者(未成年者を除く。第十二条第一項において同じ。)及び自転車貸付業者その他自転車を事業の用に供する者は、利用し、又は事業の用に供する自転車について、適宜、安全適正利用のために必要な点検及び整備を行うよう努めなければならない。(第十条第1項)
自転車利用者は、自転車損害賠償保険等(自転車の利用に係る交通事故により生じた他人の生命又は身体の被害に係る損害を填補することができる保険又は共済をいう。以下同じ。)に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の者により、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入しているときは、この限りでない。(第十二条第1項)
未成年の場合は保護者に加入義務がある
先ほど、未成年者は“自転車利用者”には含まれないと説明しました。その理由は、未成年者に代わって保護者が自転車保険に加入する義務を負うためです。
保護者は、その監護する未成年者が自転車を利用するときは、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該保護者以外の者により、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入しているときは、この限りでない。(第十二条第2項)
事業者・貸出業者・小売業者は努力義務
事業者・貸出業者・小売業者については、法律上は義務化の対象ではありません。
そのため未加入でも罰則はないものの、加入するように努めたり、加入しているか確認する努力をしたりする必要があります。
- 事業者
- 貸出業者
- 小売業者
従業員が業務の中で自転車を利用する場合は、従業員が被保険者となる賠償責任保険などに加入する努力をしなければなりません。
これは、保険によっては勤務中の事故が保証対象外となる場合があるためです。
また、先ほど業務のために自転車を利用する者は“自転車利用者”には含まれないと説明しましたが、それは事業者が努力義務を負っているためです。
貸出業者は、自転車が対象となる賠償責任保険などに加入されているものをレンタルする努力をしなければならなりません。
小売業者は自転車を買おうとしている人に、自転車保険に加入しているかを確認する努力をしなければなりません。そのうえで加入していないことがわかった場合は、自転車を購入しようとしている人に自転車保険などの情報を提供する努力をしなければなりません。
大阪府自転車条例抜粋
事業者は、その事業活動において従業者に自転車を利用させるときは、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入するよう努めなければならない。(第十二条第3項)
自転車小売業者は、自転車を販売するときは、当該自転車購入者に対し、自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等の加入の有無を確認するよう努めなければならない。(第十三条1項)
自転車小売業者は、前項の規定による確認により自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入していることを認めることができないときは、当該自転車購入者に対し、自転車損害賠償保険等の加入に関する情報を提供するよう努めなければならない。(第十三条第2項)
自転車貸付業者は、自転車を借り受けようとする者に対し、自転車損害賠償保険等を付した自転車を貸し付けるよう努めなければならない。(第十三条第3項)

大阪府、自転車保険加入義務の対象になるか具体例で確認!
大阪府の「自転車損害賠償保険等への加入」の義務化の対象や内容について解説しましたが、具体例を挙げてもう少し詳しくみていきましょう。
- 大阪府在住ではないものの、来年度から子どもが大阪府内の高校に自転車で通う
- 自転車で堺市内の大学に通う
- 業務の中で自転車を利用する
- 勤務先が枚方市にあり、来月から健康のために自転車通勤を考えている
- 大阪に旅行に行き、自転車をレンタルした
→保護者に義務がある
大阪府を自転車で通ると義務化の対象になりますが、ほとんどの高校生は未成年であるため“自転車利用者”には含まれず、代わりにその保護者に義務が生じます。そのため、保護者は子どもが被保険者となるような損害賠償保険などに加入しなければなりません。
→年齢によって義務の対象が異なる
未成年の場合は保護者に義務がありますが、成年であれば自分に義務が生じます。成年の場合は“自転車利用者”に含まれるため、自分が被保険者となるような損害賠償保険に加入しなければなりません。
→勤務している会社に努力義務がある
業務で自転車を利用する人は“自転車利用者”に含まれないため、自分に加入義務はありません。ただし、通勤や娯楽など業務以外で自転車を利用する場合は“自転車利用者”に該当するため、義務の対象となります。
→自分に義務がある
枚方市は大阪府にあるので、条例の対象になります。
→基本的には自分に義務がある
ただし,貸付業者が保険を付けた自転車を貸し出していた場合については,第十二条第1項のただし書き以降を満たすので,義務はありません。
まとめ
平成28年7月1日に制定された「自転車損害賠償保険等への加入」の義務化対象者について解説しました。
大阪府自転車条例は、自転車が加害者である交通事故による死者数の増加や、高額な賠償請求事例が発生していることを踏まえて制定されました。
自転車保険への加入の義務は大阪在住かどうかに関わらず、基本的には自転車で大阪府を走行する人が対象となります。
未成年の場合は保護者が義務化の対象になるので、知らない間に条例違反をしていないかさっそく家族で話し合ってみましょう!
大阪府の義務化対象市区町村
義務化対象となる市区町村は以下を参考にして下さい。



