仙台市で施行された「仙台市自転車の安全利用に関する条例」により、平成31年4月1日から自転車損害賠償保険等への加入が義務付けられました。しかし、どのような人が義務の対象なのか理解できていない人も多いようです。
そこで今回は、義務の対象者について詳しく解説します!
平成31年1月1日、仙台市では「仙台市自転車の安全利用に関する条例」が施行されました。それに伴って、平成31年4月1日より自転車事故を起こした場合の賠償責任を補償する保険である自転車損害賠償保険等への加入が義務付けられています。
ここで気になるのが、誰に加入義務があるのかということですよね。仙台市に住んでいるわけではなく、仙台市に通学・通勤している人にも加入義務があるのでしょうか?
ここからは、どのような人に自転車損害賠償保険等への加入の義務があるのか具体例でご紹介します。仙台市に住んでいる人だけでなく、通勤・通学で自転車を使用している人も参考にしてくださいね!
自転車で仙台市を走行する人は義務の対象!
仙台市が平成31年1月1日に施行した「仙台市自転車の安全利用に関する条例」では、平成31年4月1日から自転車損害賠償保険等への加入が義務付けられています。その義務の対象者は、基本的には「自転車で仙台市を走行するか」で決まります。
そのため仙台市在住かどうかは関係なく、他府県に住んでいても自転車で仙台市を走行する場合は義務の対象になります。
しかし、自転車で仙台市を走行する人だけが義務の対象になるわけではありません。対象になるのは、
- 自転車利用者(未成年者及び業務のために自転車を利用する者を除く)
- 保護者
- 事業者
- 自転車貸出業者
- 自転車小売業者
です。
対象者 | 義務 / 努力義務 |
---|---|
自転車利用者 | ◯ |
保護者 | ◯ |
事業者 | △ |
貸出業者 | △ |
小売業者 | △ |
◯:義務 △:努力義務
※表は横にスクロールできます。
自転車保険加入義務って何?
自転車利用者の加入義務について
自転車に乗る人は、自分が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入する義務があります。ただし、未成年者と業務で自転車を利用する人は義務の対象にはなりません。
以下に自転車利用者の加入義務についての条例を抜粋したので、チェックしてみましょう!
自転車利用者(未成年者及び業務のために自転車を利用する者を除く。)は、自らが被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の者が、当該自転車利用者が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入しているときは、この限りでない。(第十三条第1項)
未成年者の場合は保護者に加入義務がある
未成年者は自分で保険に加入することはできないので、保護者が代わりに自転車保険に加入する義務を負います。
保護者は、その監護する未成年者が自転車を利用するときは、当該未成年者が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該保護者以外の者が、当該未成年者が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入しているときは、この限りでない。(第十三条第2項)
事業者・貸出業者・小売業者は努力義務
事業者・貸出業者・小売業者については、義務の対象ではありません。そのため条例違反にはならないものの、加入するように努めたり,加入しているか確認する努力をしたりする必要があります。
- 事業者
- 貸出業者
- 小売業者
従業員が業務の中で自転車を利用する場合は、従業員が被保険者となる賠償責任保険などに加入する努力をしなければなりません。これは、保険によっては勤務中の事故が補償対象外となる場合があるためです。
また、先ほど業務のために自転車を利用する者は自転車利用者には含まれないと説明しましたが、それは事業者が努力義務を負っているためです。
貸出業者は、自転車が対象となる賠償責任保険などに加入されているものをレンタルした人が被保険者になるような賠償責任保険などに加入する努力をしなければなりません。
小売業者は自転車を買おうとしている人に、自転車保険に加入しているかを確認する努力をしなければなりません。そのうえで加入していないことがわかった場合は、自転車を購入しようとしている人に自転車保険などの情報を提供する努力をしなければなりません。
事業者は、その業務において従業者に自転車を利用させるに当たっては、当該従業者が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入するよう努めなければならない。(第十三条第3項)
自転車貸出業者は、その貸出しを受けて道路において自転車を利用する者が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入するよう努めなければならない。(第十三条第4項)
自転車小売業者は、自転車を販売するときは、当該自転車を購入しようとする者に対し、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等の加入の有無を確認するよう努めなければならない。(第十四条第1項)
自転車小売業者は、前項の規定による確認により当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入していることを認めることができないときは、当該自転車を購入しようとする者に対し、自転車損害賠償保険等に関する情報を提供するよう努めなければならない。(第十四条第2項)
未加入の場合はどうなる?違反したら罰則はあるの?
ここで気になるのが、未加入の場合はどうなるのか…違反したら罰則はあるのか…ということですよね。もしかすると今まで加入義務の対象になっていることに気付かず、今になって焦っている人もいるかもしれません。
仙台市では自転車保険への加入が義務化されましたが、今のところ罰則は設けられていません(2019年5月現在)。その主な理由は、保険に加入しているかどうかの確認が難しいからです。加入義務の対象となるような補償は、自動車保険や火災保険のオプションとして加入している場合もあり、自分自身で加入していなくても親や配偶者が「家族プラン」に加入している場合もあるので、それぞれの保険加入を証明することは非常に困難なのです。なお、これは仙台市に限らず、すでに義務化している府県についても罰則規定はありません。
しかし、罰則がないからといって加入しなくていいという訳ではありません。万が一の高額な賠償金や、被害者の治療費をまかなうためにも自転車保険には加入しておくべきです。

義務の対象になるか具体例で確認!
仙台市の自転車損害賠償保険等への加入の義務対象者や内容について解説しました。続いて、具体例を用いてもう少し詳しくみていきましょう。
- 仙台市在住ではないものの、来年度から子どもが仙台市内の高校に自転車で通う
- 自転車で仙台市内の大学に通う
- 業務の中で自転車を利用する
- 勤務先が仙台市にあり、来月から健康のために自転車通勤を考えている
- 仙台市に旅行に行き、自転車をレンタルした
→保護者に義務がある
仙台市を自転車で走行すると義務の対象になりますが、ほとんどの高校生は未成年者であるため、代わりにその保護者に義務が生じます。そのため、保護者は子どもが被保険者となるような損害賠償保険などに加入しなければなりません。
→年齢によって義務の対象が異なる
未成年者の場合は保護者に義務がありますが、成年者であれば自分に義務が生じます。成年者の場合は、自分が被保険者となるような損害賠償保険に加入しなければなりません。
→勤務している会社に努力義務がある
業務で自転車を利用する人は自転車利用者に含まれないため、自分に加入義務はありません。念のため、勤務している会社が加入しているか確認しておいた方が安心でしょう。
→自分に義務がある
勤務先が仙台市なので、加入義務の対象となります。
→場合による
事故が発生した場合、その責任が貸出業者とレンタルした人のどちらにあるのかは契約によります。また、貸出業者は加入努力義務を負っていますが、あくまで努力義務なので必ずしも加入しているとは限りません。
まとめ
平成31年1月1日に施行された「仙台市自転車の安全利用に関する条例」の自転車損害賠償保険等への加入の義務対象者について解説しました。
仙台市は平成25年度に「杜の都の自転車プラン」を策定し、誰もが安全に自転車を利用できる環境の実現を目指す取り組みを進めてきました。仙台市内の自転車事故の発生状況は減少傾向にあるものの、自転車が加害者となる事故は横ばいで推移しています。
このような状況を踏まえ、平成31年4月1日から自転車事故を起こした場合の賠償責任を補償する保険である自転車損害賠償保険等への加入が義務付けられました。紹介した具体例を参考にして、知らない間に条例違反をしていないかさっそく確認しましょう!
※引用・参照
仙台市. “仙台市自転車の安全利用に関する条例” .2018.
https://www.city.sendai.jp/jitensha/kurashi/anzen/anzen/kotsu/jitensha/documents/honbun.pdf. (参照:2019-05-31)
仙台市の義務化対象区
義務化対象となる区は以下を参考にして下さい。
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