平坦地が多い相模原市では通勤、通学、お買い物などで多くの人が自転車を利用しています。
その一方、自転車事故が多いのも事実。そのため相模原市では、自転車を安全に利用してもらうためにも自転車保険の加入を義務付けたのです!
しかし、そもそもこの自転車保険、誰が対象なのでしょうか?また、罰則はあるのでしょうか?
神奈川県相模原市では自転車を安全且つ、適正に利用してもらいたい思いから、平成29年12月25日に「相模原市安全に安心して自転車を利用しようよ条例」が施行されました。
その後、平成30年7月1日には相模原市で自転車を利用する市民を対象に「自転車事故に備えた保険等への加入の義務化」が施行されたのです。
今回はそんな「条例が難しくてわからない…」「自転車保険ってなに?」といった方に向けて、詳しく解説してきたいと思います。
相模原市で自転車を走行する場合は必須であり、義務でもある!
平成30年7月1日に施行された「自転車事故に備えた保険等への加入の義務化」ですが、どのような人が対象となるのでしょうか。
対象者 | 義務 / 努力義務 |
---|---|
自転車利用者 | ◯ |
保護者 | ◯ |
事業者 | ◯ |
貸付け業者 | ◯ |
小売業者 | 購入者への加入確認:〇※1 |
購入者が未加入の場合での加入推奨:△※1 |
※1.◯:義務 △:努力義務
義務の対象者は基本的に「自転車で相模原市を走行するかどうか」で決まります。そのため、相模原市内で自転車を走行する場合は、例え相模原市民でなくても対象となるのです。
また、神奈川県は県全体でも自転車を安全で適正な利用促進を促すために令和元年10月1日から自転車保険等の加入が義務化となります。
※詳しくはこちらの記事をご参照ください。
神奈川県|自転車保険の義務化、違反時に罰則はある?賠償責任保険に加入すべき?
―そもそも保険の加入が義務化された理由の背景とは?
平成25年7月4日、神戸地方裁判所にて小学生が運転する自転車と歩行者の事故がありました。
その事故は、自転車側に過失があったことから損害賠償金9,521万円を命じる判決が言い渡され、当時加害者である小学生は未成年だったこともあり、その保護者が損害賠償責任を負うこととなったのです。
このような事例があったことから、被害者の確実な救済と加害者となった者への経済的負担の軽減を目的とする他、加入することで交通事故の危険性を再確認してもらいたい思いから保険の加入が義務化されたのです。
義務の内容とは?

―自転車を利用する全ての人が加入対象
通勤や通学、お買い物などで自転車を利用する場合は、年齢問わず自身が被保険者となる自転車損害賠償責任保険等に加入しなくてはいけません。但し、保護者や事業者、レンタル業者等が自転車損害賠償責任保険等に加入している場合は義務の対象とはなりません。
自転車利用者は、その利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の者が、当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しているときは、この限りでない。
(第16条第1項)
―未成年の監督義務者である”保護者”は加入必須である
未成年者が自転車を利用する場合は、未成年者は保険に加入することができないため、必ずその未成年者の監督義務者である”保護者”が変わりに自転車損害賠償責任保険等に加入しなくてはいけません。
保護者は、その監護する未成年者の自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。ただし、当該保護者以外の者が、当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しているときは、この限りでない。
(第16条第2項)
そのため、通学や塾などで自転車を利用するお子さんがいるご家庭は必ず、自転車損害賠償責任保険等に加入を行いましょう。
また、保護者はお子さんが事故に巻き込まれないようにするためにも、日頃から交通ルールやマナーの遵守すること、また13歳未満のお子さんにはへルメットの着用を行うように指導しましょう。
事業者”は保険の加入が義務である
業務上、従業員が自転車を利用することがある場合は従業員が被保険者となるような自転車損害賠償責任保険等に事業者※1が加入しなくてはいけません。
事業者は、その事業活動の用に供する自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。ただし、次項の規定により、自転車貸付業者が、当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しているときは、この限りでない。
(第16条第3項)
従業員が自転車を使用する場合は、必ず乗車用のヘルメットの着用を義務付けるようにしましょう。
※1.自転車を利用する事業者は、運輸業を運営する企業等が当てはまります。
―自転車レンタルを行う”貸付業者”の保険加入は絶対である
例え有償・無償であったとしても、自転車をレンタルで貸し出す貸付業者は、自転車損害賠償責任保険等に加入しなければなりません。
自転車貸付業者は、その貸付けの用に供する自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。
(第16条第4項)
そのため旅行先などで自転車をレンタルで借りる場合は、きちんと保険の有無を確認してから借りるようにしましょう。
―小売業者は自転車保険の加入有無を確認しなくてはいけない
自転車を販売する小売業者(販売店)は、自転車を購入する者に対し、自転車損害賠償責任保険等に加入しているのかを必ず確認しなくてはいけません。
自転車小売等業者は、自転車を小売し、整備し、又は修理するときは、客に対し、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しているかどうかを確認しなければならない。 (第17条第1項)
もし加入していないとわかった場合は、購入者に対して自転車損害賠償責任保険等についての説明を行い、加入を促す努力をしないといけません。
加入しないとどうなるの?罰則はあるの!?
まだまだ世間には広まっていない”自転車保険の加入義務”。もし、自転車保険に未加入のまま加入義務のある自治体で自転車を走行した場合、罰則等はあるのでしょうか。
結論からいえば『罰則はありません』(2020年3月現在)
その主な理由としては、以下のことが挙げられます。
【罰則がない理由】
・自転車保険に加入をしているのか直ぐに確認が取れないから
自動車の自賠責保険とは違い、自転車保険にはたくさんの種類が存在します。そのため管理をすることが極めて困難且つ、簡単に加入の有無を確認することができません。
また、自動車保険や火災保険などのオプションとして加入している場合もあり、自身が加入していなくても親や配偶者が「家族プラン」などに加入している場合もあるからです。
罰則がないのは相模原市に限ったことではなく、既に自転車保険が義務化されている各自治体についても現時点では罰則がありません。
しかし、実際の事故のリスクがあることには変わりありません。
自転車保険は月々100円から入れるものがありますので、もしもの時のために必ず加入するようにしましょう。
これは義務の対象?具体例を見ながら確認しよう!

自転車保険に加入するべき!と言われても、加入の義務対象者は誰に当てはまるのかわからないことも多いはず。
ここでは、具体例を出しながら「誰が対象となるか」を詳しく見ていきましょう。
1.相模原市に在住していないが、子供が相模原市内の高校に自転車で通う
保護者に義務がある
お子さんが高校生の場合でもまだ未成年者であるため、監督義務者である保護者が自転車保険に加入する義務があります。
保護者は子どもが被保険者となるような損害賠償保険等に加入しなければなりません。
2. 自転車で相模原市の大学に通う場合
年齢によって異なる
この場合は、対象者が未成年者か成人しているかで変わってきます。
未成年者の場合は保護者に責任義務がありますが、成人している子の場合は、自転車を運転していた自分自身に義務があります。
3. 業務の中で自転車を利用する場合
勤務先の会社に加入義務がある
業務中に自転車を利用する場合は、各事業者に加入義務があります。
そのため、従業員が個々で加入する必要はありません。
4. 勤務先が相模原市にあり、来月から健康のために自転車通勤を考えている
自分自身に義務がある
通勤時間は使用者(会社側)の支配管理下のない業務時間外のため、労働時間とはなりません。
そのためこの場合は自分自身に義務が生じますし、勤務先が相模原市となるので条例の対象となります。
5. 相模原市に旅行へ行き、自転車をレンタルで借りた
貸付業者に加入義務がある
この場合、たとえ自転車のレンタルが無料であったとしても貸付業者に加入義務があります。
そのためこの場合は自分自身に義務が生じますし、勤務先が相模原市となるので条例の対象となります。
まとめ
相模原市で自転車を利用する場合は、自転車保険に加入する義務があることを理解されたかと思います。
警視庁によると、平成30年における交通事故による死者数は年々減少傾向にありますが、全死者数の約半数が歩行中または自転車乗車中と報告されています。
相模原では自転車事故の比率が高い
また、相模原市では平成30年中に起きた交通事故は2546件中、771件が自転車に関する交通事故だと報告が挙がっています。
みんなが自転車保険に加入することで、自転車に乗らない歩行者も安心して街を歩くことができます。
この機会に今一度、ご家族全員で自転車保険について話し合い、安心を確保していきましょう。
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