鹿児島県は、平成29年3月24日に自転車保険に関する条例「かごしま県民のための自転車の安全で適正な利用に関する条例」によって自転車保険への加入が義務化されました。
これは、鹿児島県全体の自転車事故を減らし、県民が安心して暮らせる地域社会の実現に寄与するために施行された条例です。自転車を安全に利用してもらうために、県の責務及び自転車利用者等の役割を明らかにし、施策の基本的事項を定めています。
こうした実情を踏まえて、鹿児島県の自転車保険加入義務に関する内容を具体的に紹介していきたいと思います。鹿児島県在住の方はもちろん、鹿児島県に隣接する県の方も、ぜひご確認ください。
自転車で鹿児島県を走行する人は義務化対象
鹿児島県の条例では、加入義務の対象を「鹿児島県内を自転車で走行する人」と定めています。
つまり、鹿児島県在住の人であっても、鹿児島県内で自転車を利用する人でなければ、自転車保険への加入義務の対象とはならないのです。裏を返せば、鹿児島県外に住んでいても、鹿児島県内で自転車を利用する人であれば、自転車保険へは加入しなければなりません。
ただし、自分が自転車保険に加入していなくても、家族が保険に加入していれば義務を果たしていることになります。加入している保険のことを把握し切れていない場合もあるので、一度加入している保険を洗い出しているみるといいかもしれません。
以下に、対象者をまとめたのでご覧ください。
対象者 | 義務 / 努力義務 |
---|---|
自転車利用者 | ◯ |
保護者 | ◯ |
事業者 | ◯ |
貸付け業者 | ◯ |
小売業者 | 購入者への加入確認:〇※1 |
購入者が未加入の場合での加入推奨:△※1 |
※1.◯:義務 △:努力義務(努力義務とは…日本の法律上「〜するよう努めなければならない」などと規定されている。但し、違反しても刑事罰や過料等の法的な罰則を受けない作為義務・不作為義務のこと)
ここから先は、この表の内容を踏まえて、鹿児島県の自転車保険への加入義務の内容について見ていきたいと思います。
義務内容の確認
自転車利用者本人への加入義務

自転車を利用する人は、「自分が被保険者となる自転車損害賠償保険等」に加入する必要があります(義務化については、「自転車 保険 義務化」ページを参照)。ただし未成年者や配送業などの業務でのみ利用する人(※)など、一部例外となる人は、保険への加入義務が適用されません。
※個人の自転車を業務で利用する場合は、対象となる場合もあります。
11条1項
自転車利用者は、自転車を利用するに当たり、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の者が、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入しているときは、この限りではない。
https://www.pref.kagoshima.jp/ab10/kurashi-kankyo/anzen/documents/58234_20170323151504-1.pdfより引用
保護者への加入義務
自転車保険への加入が義務とはいえ、未成年者の場合保険に加入することはできません。そのため未成年者が自転車を利用する場合、本人の代わりに保護者が自転車保険に加入する必要があります。上記で触れた「未成年者は自転車利用者には含まれない」という理由がこれです。
11条1項
自転車利用者は、自転車を利用するときは、当該利用に係る自転車損 害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の 者により、当該利用に係る自転車損害賠償保険等の加入の措置が講じられて いるときは、この限りでない。
https://www.pref.kagoshima.jp/ab10/kurashi-kankyo/anzen/documents/58234_20170323151504-1.pdfより引用
事業者・貸付業者への加入義務
自転車保険への加入義務は、貸し付け(レンタル)業者にも適用されます。
業務で自転車を使用する人の場合、雇用主である事業者が加入対象です。レンタル自転車を利用する場合は、念のため保険に入っているか確認しておくといいでしょう。
・事業者
従業員が業務で自転車を利用する場合、雇い主である事業者は従業員を被保険者として賠償責任保険などに加入しておく必要があります。なぜなら、個人で自転車保険に加入していたとしても、勤務中の事故が補償対象外となる場合があるからです。
こうした理由から、業務で自転車を利用する場合、自転車を利用する本人には加入義務が課されることはありません。
・貸付業者
自転車の貸付業を営む業者は、レンタルする自転車に自転車損害賠償保険等を付けなけなければなりません。
11条5項
事業者は、その事業の用に供する自転車を利用させるに当たり、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該事業者以外の者が、当保険該自転車の利用に係る自転車損害保険等に加入しているときは、この限りではない。
11条4項
自転車貸し付け業者は、貸し付けのように供する自転車を利用するに当たり、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車貸付業者以外の者が、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入しているときは、この限りではない。
https://www.pref.kagoshima.jp/ab10/kurashi-kankyo/anzen/documents/58234_20170323151504-1.pdfより引用
小売業者は保険加入の確認義務、保険加入の促進努力義務
自転車を販売する小売業者は、自転車の購入者に対して自転車損害保険等への加入の有無を確認するよう、努力義務が課されます。購入者の回答が「加入していない」「分からない」といった場合、自転車保険の必要性や保険への加入義務等、必要な情報を提供した上で保険への加入を促すことが求められます。
11条2項
自転車の小売を業とする者(以下「自転車小売業者」という。)は、自転車を販売するときは、当該自転車を購入しようとする者(以下「自転車 購入者」という。)に対し、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等の 加入の措置の有無を確認しなければならない。
11条3項
自転車小売業者は、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等の加入の措置が講じられていることを確認できないときは、当該自転車購入者に対し、自転車損害賠償保険等の加入に関する情報を提供し、自転車損害賠償保険等の加入を勧奨するものとする。
https://www.pref.kagoshima.jp/ab10/kurashi-kankyo/anzen/documents/58234_20170323151504-1.pdfより引用
義務の対象になるかどうかを具体例で確認

自転車保険等への加入が義務化されたものの、例外として加入する必要がない場合もあるので、その点も説明していきましょう。では、加入が必要な場合と必要ない場合、それぞれを具体的な例として以下に掲載したのでご覧ください。
ケース1 翌年度から、子供が県外から鹿児島県内の高校に自転車で通うことになった
基本的に高校生は未成年の場合がほとんどです。自ら保険に加入することができないので、自転車で通学する本人の代わりに、保護者が自転車保険に加入する必要があります。
ケース2 自転車で鹿児島市内の大学に通う
鹿児島市は鹿児島県内にあるため、鹿児島県が定めた条例の内容が適用されます。
一般的に、大学生の年齢は18歳以上で未成年と成人の両方が通っているため、加入義務は本人の年齢に左右されます。未成年であれば「ケース1」と同様保護者に自転車保険への加入義務が課される一方、成人していれば加入義務は大学生自身にあるため、自分で損害賠償保険に加入しなければなりません。
ケース3 業務で自転車を利用する
自転車保険への加入が義務化された地域で自転車を業務利用する場合、多くの地域では利用者を雇用している会社に加入義務が課されることになっており、鹿児島県もそれにあたります。つまり、業務で利用する場合利用者本人が自転車保険に加入する必要はないのです。
ケース4 鹿児島市から日置市に通勤しており、来月から自転車通勤を考えている
鹿児島市と日置市は、ともに鹿児島県内にあるため、条例の対象になります。自転車通勤は個人的な自転車の利用になるため、鹿児島県の条例に従って自転車保険に加入する必要があります。
ケース5 鹿児島旅行で自転車をレンタルした
レンタル自転車をレンタルして利用する場合、原則として利用者に自転車保険への加入義務はありません。自転車の貸付業者は、お客さんに貸付ける自転車すべてを自転車保険に加入させる必要があります。つまり、レンタル自転車に保険が付いていなかった場合、レンタル業者側の責任が問われることになるのです。
まとめ
ここまで、平成28年2月26日に鹿児島県で施行された、「かごしま県民のための自転車の安全で適正な利用に関する条例」に関する内容をご紹介してきました。自転車保険への加入義務に罰則はないとはいえ、何かあった時の備えとして、自転車保険への加入はとても重要です。
どんな人でも、交通事故は他人事ではありません。
「万が一自分が自転車事故を起こしてしまったら…」
という危機感を持って、何よりも日々を安心して暮らせるように、自転車保険への加入はしておいた方がいいでしょう。
鹿児島県の義務化対象市区町村
義務化対象となる市区町村は以下を参考にして下さい。
保険プラン比較表利用時の注意事項については、保険プラン比較表利用時の注意事項をご覧下さい。
*2
今回のアンケートの詳細については、インターネットを利用したWEBアンケート調査をご覧下さい。
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