長野県では、「長野県自転車の安全で快適な利用に関する条例」に基づき、令和元年10月1日から自転車損害賠償責任保険等への加入が義務付けられました。今回は、どのような人が義務の対象となるのか、条例の内容と共に詳しく解説していきます。
長野県では、平成31年3月18日に「長野県自転車の安全で快適な利用に関する条例」が施行されました。
その条例の中には、自転車事故を起こした際、賠償責任を補償するための「自転車損害賠償責任保険等への加入が義務化」の記載があり、加入義務は令和元年10月1日から有効となります。
しかし、義務化といってもどのような人が加入しなければならないのか、未加入の場合は罰則があるのかどうか、条例の内容を理解している人はどれだけいるのでしょうか。
どのような人が自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならないのか、実例とともに紹介していきます。

自転車で長野県内を走行する人は義務化対象
長野県では令和元年10月1日から「自転車で長野県内を走行する人」は自転車損害賠償責任保険等への加入が求められるようになりました。
これは長野県内で自転車を利用した場合にのみ適用されます。
つまり、例え長野県在住であっても、長野県内で自転車を利用しない人は加入の対象とはならず、逆に県外に住んでいても長野県内で自転車を利用する人であれば対象となるのです。
しかし、これには例外があり、場合によっては自分以外の家族が保険に加入していれば、義務を果たしていることになる場合があります。
対象者となるのは、以下の方々です。
※表は横にスクロールできます。
対象者 | 義務 / 努力義務 |
---|---|
自転車利用者 | ◯ |
保護者 | ◯ |
事業者 | ◯ |
貸付け業者 | ◯ |
小売業者 | 購入者への加入確認:〇※1 |
購入者が未加入の場合での加入推奨:△※1 |
※1.◯:義務 △:努力義務
ここからは、上の表の内容を基に義務の内容について解説していきます。
義務内容の確認
自転車利用者本人への加入義務
自転車保険への加入が義務化されている地域で自転車を利用する場合、利用者が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入しなければなりません。
ただし、未成年者(後述)や配送業などの業務でのみ利用する人(※2)は原則として対象外となり、保護者や事業主が、その責任を負うことになります。
※2. 個人の自転車を業務で利用する場合は、対象となる場合もあります。
以下に、自転車利用者の加入義務についての条例を抜粋しました。実際の条例ではどのように書かれているのか、ご確認ください。
第14条第1項
自転車の利用者は、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車の利用者以外の者により、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償保険等に加入しているときは、この限りでない。
https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/322867.pdfより引用
未成年者が自転車を利用する場合、保護者に義務が課される

未成年者が自転車を利用する場合、自分では保険に加入することができないため、保護者が保険に加入することになります。上述した「未成年者は自転車利用者には含まれない」という言葉の意味がこれに当たります。
第14条第2項
保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、未成年者を現に監護 する者をいう。)は、その監護する未成年者が自転車を運転する場合は、当 該未成年者の自転車の運転に係る自転車損害賠償保険等に加入しなければな らない。ただし、当該保護者以外の者が当該未成年者の自転車の運転に係る 自転車損害賠償保険等に加入している場合は、この限りでない。
https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/322867.pdfより引用
事業者・貸付業者への加入義務
自転車を商品として扱う事業者と貸付け(レンタル)業者にも、加入義務が課されます。
旅行などで自転車をレンタルする機会があれば、念のため保険の有無について確認しておくと安心できるでしょう。
事業者
個人的に自転車を利用する場合と同様、仕事で自転車を利用する場合も自転車保険等へ加入しなければなりません。
ただしその場合義務が課されるのは、実際に自転車を使用する従業員ではなく、雇用する側の事業主になります。
これは、保険によっては勤務中の事故が補償対象外となる場合があることが理由です。
貸付業者
自転車のレンタル業を営む業者にも、自転車保険等への加入が義務づけられます。
この場合保険を付けるのは、レンタルする自転車になります。
第14条第3項
自転車利用事業者は、その事業活動において利用する自転車の運転に係る 自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。
第14条第4項
自転車貸付事業者は、自転車損害賠償保険等に加入している自転車による 自転車の貸付けを行わなければならない。(自転車損害賠償保険等の加入の確認等)
https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/322867.pdfより引用
小売業者には確認努力義務がある
小売業者が自転車を販売する場合、購入者に対して自転車損害保険等に加入しているか、確認することが求められます。
購入者がもしも「分からない」「加入していない」と答えた場合は、条例に基づいた加入義務等の情報を提供し、自転車保険等への加入を促さなければなりません。
第15条第1項
自転車の小売を業とする者は、自転車の販売に際し、自転車を購入し ようとする者に対し、当該自転車の運転に係る自転車損害賠償保険等の加入 の有無を確認しなければならない。
第15条第2項
自転車の小売を業とする者は、前項の規定による確認ができないときは、 自転車を購入しようとする者に対し、自転車損害賠償保険等について情報を 4 提供するとともに、その加入を勧奨するものとする。(自転車損害賠償保険等に関する情報提供)
https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/322867.pdfより引用
義務の対象になるかどうかを具体例で確認

ここまで紹介したように、自転車保険等への加入は長野県内で自転車を利用する人の義務ですが、その対象外となる場合もあります。
以下に、義務となるケースとならないケースを実例として紹介しているので、ぜひご覧ください。
ケース1:長野県外に住んでいるが、子供が長野県内の高校に自転車で通う
長野県で自転車に乗るということで、自転車保険等に加入しなければなりません。
ですが、基本的に高校生は未成年です。
そのため、加入できない本人に代わり、保険等には保護者が加入しなければなりません。
ケース2:松本市内の大学に自転車で通う
長野県内である松本市を自転車で走行する場合、自転車保険等への加入義務の対象となります。
ただし、未成年か成人しているかで、誰が加入する必要があるのか異なります。
未成年であれば「ケース1」同様、保護者に自転車保険への加入義務が課されます。
一方、成人していれば加入義務は大学生自身にあるため、自分に加入義務があります。
ケース3:仕事のため業務上自転車を利用する
業務で自転車を利用する場合、従業員を雇用している会社は自転車保険等に加入しなければなりません。
つまり、利用者本人が自転車保険に加入する必要はないのです。
ケース4:健康のため、勤務先の長野市への自転車通勤を考えている
長野市は長野県内なので、条例の対象になります。
自転車通勤は個人的な自転車の利用になるため、長野県の条例に従い自転車保険等に加入しなければなりません。
ケース5:長野へ旅行に行ってレンタル自転車を利用した
レンタル業者は、扱う自転車を自転車保険等に入れることが義務付けられているので、保険を付けていない自転車をお客さんに貸し付けてはいけません。
つまり、レンタル自転車を借りる側は、仮に自転車に保険が付いていなくても責任を問われることはないのです。
まとめ
今回は、「長野県自転車の安全で快適な利用に関する条例」の「自転車損害賠償保険等への義務化」について解説してきました。
令和元年10月1日から義務付けられた自転車損害賠償責任保険等への加入は、自分が被害者になった時、あるいは加害者になった時にあなたと家族を守ってくれるはずです。
未加入による罰則はないものの、自分が事故に関わった場合を想定して、自転車保険への加入はしておきましょう。
長野県の義務化対象市区町村
義務化対象となる市区町村は以下を参考にして下さい。
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