徳島県の皆さん!徳島県では自転車に乗る際『自転車保険に加入することに努めなくてはならない』という条例があるのはご存知でしたか?
「条例?」「自転車保険?」とわからない人の為に徳島県の自転車に関する条例についてと、自転車保険に関する努力義務についてお話ししていきたいと思います。
徳島県では平成28年4月1日から『徳島県自転車の安全で適正な利用に関する条例』が施行されました。
この条例は、自転車を安全で適正に利用することを促し、県民が安心して暮らすことができる地域社会の実現を目的に定めらて作られています。
その条例内容は大きくわけて3つ。
●ヘルメットの着用
●損害賠償保険等への加入
●自転車点検整備
について記載がされています。
今回はその中の『損害賠償保険等(略称:自転車保険)への加入』について、詳しくご説明していきたいと思います。
徳島県では自転車保険の加入を努力義務としている
徳島県では、自転車保険の加入を促す対象者を下記の通りとしています。
※表は横にスクロールできます。
対象者 | 努力義務 |
---|---|
自転車利用者 | △ |
保護者 | △ |
事業者 | ー |
貸付け業者 | ー |
小売業者 | ー |
【徳島県自転車の安全で適正な利用に関する条例】※1
第十四条
自転車を利用する者は、自転車の利用によって生じた他人の生命、身体又は財産の損害を賠償することができるよう、当該損害を填補するための保険又は 共済(次条第二項において「自転車損害賠償保険等」という。)への加入その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
⇒自転車利用者とは…
20歳を超えた成人した男女が該当
第十四条第二項
保護者は、その監護する未成年者が自転車を利用するときは、前項に規定する措置を講ずるよう努めなければならない。
⇒保護者とは…
20歳未満の子は、監督責任である親権者が該当
徳島県では、個人に対して自転車保険の加入を促す努力義務を行っていますが、事業者や貸付け業者、小売業者に関しては現段階では自転車保険の加入義務を設けていません。※2
※1.https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/bosai/kotsuanzen/5022636より引用
※2.令和元年5月現在
徳島県で自転車を利用する全ての人に該当
『徳島県自転車の安全で適正な利用に関する条例』にある、自転車保険は徳島県民だけが守るものではありません。徳島県で自転車を利用する全ての人に該当します。
そのため「私は旅行者だから」「たまたま出張できているだけだから」といって自転車保険に未加入のまま利用するのは大変危険です。
必ず、自身が自転車保険に加入をしているのか確認し、未加入の場合は加入するように努めましょう。
まだまだ自転車保険は認知度が低いのも事実
平成31年4月に発行された「徳島市自転車安全利用促進計画」によると、自転車保険の加入状況はまだまだ低いのが現状です。※3
※3.令和元年5月現在
【徳島市での自転車保険加入状況】
●学生:35%
●子育て世代:30%
●通勤利用者:32%
●高齢者:20%
徳島市全体では加入している35%、加入していない30%、加入状況はわからない35%という結果となっています。
これらのことを踏まえると、まだまだ自転車事故に対する危機感が低いと感じます。
※2.https://www.city.tokushima.tokushima.jp/kurashi/koutsu/road/cycle-plan-HP.files/tokushima-city_cycle-plan.pdfより引用
自転車による事故を知ろう!
まだまだこの条例はできたばかりなので、認知度が低いのも致し方がないかもしれません。
しかし、自転車はコツさえ掴めば誰もが乗れる乗り物ですが、自動車と同じ「車両(軽車両)」ということを忘れてはいけません。
【年齢層別自転車事故による発生件数と死亡者数】
件数 | 構成率 | 死者数 | 構成率 | |
---|---|---|---|---|
16歳未満 | 937 | 20.2% | 2 | 5.4% |
16~24歳 | 1,111 | 23.9% | 0 | 0.0% |
25~29歳 | 167 | 3.6% | 1 | 2.7% |
30~39歳 | 336 | 7.2% | 1 | 2.7% |
40~49歳 | 357 | 7.7% | 3 | 8.1% |
50~59歳 | 324 | 7.0% | 2 | 5.4% |
60~64歳 | 245 | 5.3% | 0 | 0.0% |
65歳以上 | 1,172 | 25.2% | 28 | 75.7% |
4,649 | 37 |
引用元:https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/bosai/kotsuanzen/5022636より引用
徳島県では、平成25~29年にかけて年齢層別の自転車による交通事故の発生件数と死亡者数を出したものがあります。
上の表から見てわかる通り、自転車による事故の当事者は中高生などの若者が多く、また65歳以上の高齢者による死者数の割合が約76%を占める結果となっています。
また、自転車が加害者となる事故で高額賠償が請求される例が多くあるのも事実です。
※表は横にスクロールできます。
年月・場所 | 自転車による交通事故 | 賠償金額 |
---|---|---|
平成15年9月 【東京地裁】歩行者との事故 |
ペットボトルを片手に自転車を走行していた男性は、下り坂を走行して交差点に進入。横断歩道を横断中の30代の女性と衝突し、その女性は脳挫傷により3日後に死亡した。 | 6,779万円 |
平成20年6月 【東京地裁】自転車同士 |
男子高校生が自転車横断帯の手前から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で走行していた20代男性と衝突。 男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等後遺障害1級)が残った。 |
9,266万円 |
平成25年7月 【神戸地裁】歩行者との事故 |
男子小学生が夜間の帰宅途中、自転車で坂道を20~30kmの早さで走っていたところ、60代の女性と正面衝突。女性は意識不明の重傷を負った。 | 9,521万円 |
自転車による交通事故で最も高額な賠償請求が出たのは、神戸地裁の9,521万円でした。加害者である男子小学生はまだ未成年であったことから、親権者にあたる保護者に賠償命令が下されました。
このニュースは当時大きく取り上げられ、自転車保険に対しての見直しが各自治体で広がっていったのです。
自転車による交通事故は他人事ではない!
これらの事例はいつ起きてもおかしくない事故ばかりです。
「大丈夫だろう」「事故は起こさないだろう」とちょっとの油断で、大きな事故に繋がりかねません。
いつ自分が加害者になってもおかしくないのが、自転車による交通事故。万が一に備えて自転車保険に加入することが必要といえるでしょう。
もちろん、そもそも事故を起こさないようにするために日頃から交通ルールを守ることも大切です。
この条例に罰則はあるの?

自転車保険の加入は努力義務とありますが、実際加入をしなかった場合、罰則等はあるのでしょうか。
令和元年5月の現段階においては、罰則等は設けていません!
しかし、だからといって加入をしなくてよいというわけではないのです。
もしも、自身が自転車による交通事故を起こして加害者となった場合どうしますか?
先述のように高額な賠償請求をされたら支払うことは可能でしょうか。もしかしたら、自己破産を余儀なくされるかもしれません。
そうならないようにするためにも、自転車を利用する全ての人は自転車保険に加入することが安心といえるでしょう。
自分はどれに該当する?具体例から確認しよう!

自転車保険の重要性について理解できたかと思いますが、実際どのようなケースに誰が対象となるのでしょうか。
具体例を見ながら確認してきましょう。
ケース①
最近ロードバイクを購入したAさん(男性、35歳)。今まで自動車で会社まで通勤をしていたが、これを機にロードバイクで会社まで通勤することにした。
≪この場合≫
自転車を利用するAさんが、自転車保険に加入する努力義務があります。
Aさんは成人男性ですので、自転車を利用する場合は自転車保険の加入に努める義務があります。
一見、自宅から会社まで通勤するということは会社側にも義務があるように感じますが、通勤は業務外に当たるため、会社側が自転車保険に加入する義務はありません。
また、徳島県では業務中の自転車利用にあたっても、会社側(事業者)が自転車保険に加入する義務が設けられていません。(令和元年5月現在)
ケース②
この春Bさん(女性、18歳)は、徳島県の大学へ進学が決まった。ひとり暮らしをする家から大学まで自転車で行ける距離なので、自転車で通学をしようと考えている。
≪この場合≫
Bさんが未成年か成人かで対象が異なります。
Bさんはまだ未成年(20歳未満)ですので、自転車保険は監督責任である保護者が加入に努める必要があります。もしBさんが20歳を超えた成人であれば、Bさん個人が自転車保険に加入することに努めなければなりません。
まとめ
徳島県の条例から見る自転車乗車時のポイントとしては、
①ヘルメットを着用
②自転車の保険に加入(努力義務)
③自転車は年に1回定期的な点検整備をする
です。その中の②にある『自転車保険の加入義務』に関しては、現段階では個人で自転車を利用する者に対して努力義務を設けています。
今後どのように条例が変わるかはわかりかねますが、自分自身、そして家族を守るためにも自転車保険に加入をするのが妥当といえるでしょう。
まだ未加入である方は、これを機に自転車保険を販売している保険会社のホームページを見てみたり、ご家族で話し合ってみるとよいかもしれませんね。
徳島県の義務化対象市区町村
義務化対象となる市区町村は以下を参考にして下さい。
あなたにおすすめの記事



