全国では自転車事故が増加しており、なかには高額な損害賠償を負うケースも発生しています。
そこで群馬県は平成26年12月22日に「群馬県交通安全条例」を制定し、自転車損害賠償保険等への加入を努力義務としています。
今回は、群馬県が制定している努力義務の内容や対象者について詳しく解説します!

群馬県では平成26年12月22日に「群馬県交通安全条例」が制定され、自転車事故を起こした場合の賠償責任を補償するような保険である「自転車損害賠償保険等への加入」が努力義務とされています。
群馬県で自転車保険への加入努力義務が課せられた背景には、自転車による交通事故の増加があります。
じつは、群馬県は高校生の自転車通学事故割合が全国4年連続ワースト1位という結果になるほどで、早急に1件でも悲惨な自転車事故を減らす努力をしなければならなかったのです。
また、昨今は自転車事故で高額な損害賠償を負うケースも増加しており、群馬県だけでなく全国の自治体でも自転車保険の義務化や加入義務化が進んでいます。
しかし、自転車保険の義務化や加入義務化が進んでいるわりに、内容や対象者ついて理解できていない人も多いようです。
そこで、どのような人が義務化の対象になるのか、努力義務とは何かを具体例を交えてご紹介します。群馬県に住んでいる人だけでなく、通勤・通学で群馬県を走行している人も参考にしてくださいね!
群馬県では自転車保険の加入は努力義務!
群馬県で制定されている「群馬県交通安全条例」では、自転車損害賠償保険等への加入の努力義務が課せられています。その努力義務の対象者は、基本的には「自転車で群馬県を走行するか」で決まります。
そのため群馬県在住かどうかは関係なく、他府県に住んでいても自転車で群馬県を走行する場合は努力義務の対象になります。
しかし、自転車で群馬県を走行する人すべてが努力義務の対象になるわけではありません。対象になるのは、
・自転車利用者
・小売業者(確認努力義務)
に限られます。
対象者 | 努力義務 |
自転車利用者 | △ |
保護者 | ー |
事業者 | ー |
貸付け業者 | ー |
小売業者 | △ |
△:努力義務 -:規定なし
ただし、自転車利用者であっても他の人によって加入されていれば、自分で加入する必要はありません。
義務の内容をチェックしましょう!
自転車利用者は加入努力義務
自転車に乗る人は、自分が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入するように努めなければなりません。
群馬県が制定している条例には、他の自治体のように未成年者に関する記載はありません。
未成年者が自身の意思で保険に入ることは難しいので、実質保護者が代わりに加入する努力義務を負うと考えた方がよいでしょう。
以下に自転車利用者の加入努力義務についての条例を抜粋したので、チェックしてみましょう!
第9条第2項
自転車を運転する者は、自転車の定期的な点検及び整備、自転車事故の防止に関
する知識の習得並びに自転車事故により生じた損害を賠償するための保険等への加
入に努めるものとする。
https://www.pref.gunma.jp/contents/000312446.pdfより引用
販売業者は確認努力義務
自転車を販売する業者は、自転車を買おうとしている人に自転車保険などに加入しているかを確認する努力をしなければなりません。
その上で、加入していない or 加入しているかどうかわからない場合は、自転車を買おうとしている人に自転車保険などの情報提供の努力をする必要があります。
第14条第1項
自転車小売業者は、自転車を販売するときは、自転車購入者に対し、自転車損害
保険等への加入の有無を確認するよう努めなければならない。
第14条第2項
自転車小売業者は、前項の規定による確認により当該自転車の利用に係る自転車損害
保険等に加入していることを確認することができなかったときは、当該自転車購入者に
対し、自転車損害保険等に関する情報を提供するよう努めなければならない。
https://www.city.kasama.lg.jp/data/doc/1547683255_doc_1_0.pdfより引用
他の自治体と比べた時の注意点は「事業者・貸付業者に関する規定がない」こと!
他の自治体では、以下のように事業者や貸付業者にも加入義務や加入努力義務を課しているところが多くあります。
○事業者
従業員が業務の中で自転車を利用する場合は、従業員が被保険者となるような保険に加入しなければなりません。
○貸付業者
自転車をレンタルする人が被保険者となるような保険に加入しなければなりません。
しかしながら、群馬県にはこのような規定がありません。そのため勤務先やレンタサイクルなどで自転車に乗る場合でも、自身が自転車保険の加入に努めなければいけないのです。
自転車に乗る場合は、必ず勤務先やレンタサイクル事業者が保険に入っているかを確認するようにしましょう。
未加入だとどうなる?違反したら罰則はあるの?
自転車保険への加入が努力義務とされている群馬県ですが、もし加入努力義務の対象になっているにもかかわらず未加入であった場合はどうなるのでしょうか?
もしかしたら、今まで加入努力義務の対象になっていることに気付かず、今になって焦っている人もいるかもしれません。
群馬県では平成26年12月22日から自転車保険等への加入を努力義務としていますが、今のところ未加入であっても罰則は設けられていません(2019年10月現在)。その主な理由は、保険に加入しているかどうかの確認が難しいからです。
加入努力義務の対象となるような補償は、自動車保険や火災保険のオプションとして加入している場合もあり、自転車利用者が加入していなくても親や配偶者が「家族プラン」に加入している場合もあります。
そのため、それぞれの保険加入を証明することは非常に困難なのです。なお、これは群馬県に限らず、すでに義務化や努力義務化している府県についても罰則規定はありません。
しかし、罰則がないからといって加入しなくていいという訳ではありません。万が一の高額な賠償金や、被害者の治療費をまかなうためにも自転車保険には加入しておくべきです。
義務化の対象になるかどうかを具体例で確認!
ここまで群馬県の自転車損害賠償保険等への加入の努力義務対象者や内容について解説しました。続いて、具体例を用いてもう少し詳しくみていきましょう。
〇群馬県在住ではないものの、来年度から子どもが豊島区の高校に自転車で通う
→子どもに加入努力義務があるため、保護者が自転車保険に加入するように努める必要がある
群馬県を自転車で走行する人は加入努力義務の対象ですが、ほとんどの高校生は未成年者であるため自ら保険に加入することはできません。そのため、代わりにその保護者に加入努力義務があると考えられます。
〇自転車で群馬県内の大学に通う
→年齢によって加入努力義務の対象が異なる
未成年者の場合は、先ほどの事例と同様に保護者に加入努力義務があると考えられます。
成年者の場合は自転車利用者に該当するため、自ら自転車損害賠償保険等に加入するように努めなければなりません。
群馬県の自転車保険は加入に努める義務があり!まとめ
群馬県で平成26年12月22日に制定された「群馬県交通安全条例」の自転車損害賠償保険等への加入の努力義務対象者について解説しました。
車社会といわれる群馬県における交通事故件数は、全国的に高い位置にあります。なかでも高校生の自転車通学事故割合は全国4年連続ワースト1位。
こうした中、1件でも悲惨な交通事故を減らすべく、自転車利用者に対する保険加入が努力義務化されることとなったのです。
現時点では未加入でも罰則は設けられていませんが、加入努力義務の対象になっている場合は自分が被害者になった時、あるいは加害者になった時を想定して必ず加入しておきましょう。
群馬県の義務化対象市区町村
義務化対象となる市区町村は以下を参考にして下さい。
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