平成31年3月1日、富山県では「富山県自転車活用推進条例」が施行されました。
この条例によって、自転車事故を起こした際の賠償責任を補償する保険である自転車損害賠償責任保険等への加入が努力義務化されることになりました。
なぜ自転車保険の義務化が進んでいるの?義務の対象者や加入すべき保険は?
このように自転車の活用の推進に関する条例が施行されているものの、どのような人が加入努力義務の対象になっているのか、未加入の場合は罰則が設けられているのかなど、詳しい内容についてはまだ理解できていない人も多いようです。
そこで本記事では、加入努力義務の対象者や条例の内容を分かりやすく解説していきたいと思います。
富山県に住んでいる人だけでなく、富山県に通勤・通学している人も参考にしてくださいね!
富山県では努力義務!自転車保険の加入義務化
富山県が平成31年3月1日に施行した「富山県自転車活用推進条例」では、自転車損害賠償責任保険等への加入が努力義務とされています。
その努力義務の対象者は、基本的には「自転車で富山県を走行するか」で決まります。
つまり、
→富山県に住んでいても、自転車で富山県を走行しなければ非対象
→富山県に住んでいなくても、自転車で富山県を走行すれば対象
となります。
しかし、富山県を自転車で通行する全ての人が加入努力義務の対象になる訳ではありません。対象になるのは、
対象者 | 義務 / 努力義務 |
自転車利用者 | △ |
保護者 | ー |
事業者 | △ |
貸付け業者 | △ |
小売業者 | △ |
※◯:義務 △:努力義務
です。また、自分で加入していなくても、他の人によって加入されていれば加入努力義務の対象にはなりません。
義務の内容をチェックしましょう!
自転車利用者は加入努力義務
自転車に乗る人は、自分が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入する努力義務があります。
以下に自転車利用者の加入努力義務についての条例を抜粋したので、チェックしてみましょう!
第14条第1項
自転車を利用する者及び自転車の貸付を業とする者その他自転車を事業の用に供する者は、自転車の利用に係る事故により生じた損害を賠償するための保険又は共済(次項及び次条第2項において「自転車損害賠償保険等」という。)への加入に努めるものとする。
富山県自転車活用推進条例より引用
「富山県自転車活用推進条例」では、未成年者の場合については言及されていません。しかし、子どもが判断したり、自転車損害賠償保険等に加入したりするのは難しいので、実質保護者が子どもの代わりに加入する必要があると考えられます。
事業者及び貸付け業者は加入努力義務
業務で自転車を利用する企業の事業者や、自転車を貸し付ける企業は、従業員や利用者が被保険者となる賠償責任保険などへの加入努力が求められます。
仮に従業員が個人で自転車保険に加入していても、保険によっては勤務中の事故が補償対象外となるので、こうした対応が必要になります。
第14条第1項
自転車を利用する者及び自転車の貸付を業とする者その他自転車を事業の用に供する者は、自転車の利用に係る事故により生じた損害を賠償するための保険又は共済(次項及び次条第2項において「自転車損害賠償保険等」という。)への加入に努めるものとする。
富山県自転車活用推進条例より引用
小売業者は加入の必要性を提供する努力義務
小売業者は、自転車を買おうとしている人に自転車保険加入等への加入の必要性などの情報を提供する努力をしなければなりません。
第9条第1項
自転車の小売を業とする者は、自転車を購入しようとする者に対し、自転車損害賠償保険等への加入の必要性に関する啓発及び自転車損害賠償保険等に関する情報の提供に努めるものとする
富山県自転車活用推進条例より引用
未加入だとどうなる?違反したら罰則はあるの?
ここまで「富山県自転車活用推進条例」を解説してきましたが、気になることが1つ…。それは、未加入の場合の罰則について。もしかしたら、今日まで加入努力義務の対象になっていることに気付かず、この記事を読んで焦っている人もいるかもしれません…。
富山県では自転車損害賠償保険等への加入が努力義務とされていますが、今のところ罰則は設けられていないのです!(2019年12月現在)。
その主な理由は、保険に加入しているかどうかの確認が難しいからです。
加入義務の対象となるような補償は、自動車保険や火災保険のオプションとして加入している場合があります。
自分自身で加入していなくても親や配偶者が「家族プラン」に加入している場合もあるので、それぞれの保険加入を証明することは非常に困難なのです。
なお、これは富山県に限らず、すでに義務化や努力義務化されている府県についても同様に罰則規定は設けられていません。
このように、自転車保険の加入義務や加入努力義務を違反をしても罰則はありませんが、だからといって加入しなくていいという訳ではないのです。
未加入の状態で事故を起こすリスクとは?
自転車保険の加入義務や加入努力義務に罰則はないと説明しましたが、未加入の状態で自転車事故を起こしてしまったとしたら、どうなるのでしょうか?
実は、保険への加入が義務化または努力義務化されているにも関わらず、条例を違反した状態で事故にあった場合、裁判等で不利になる可能性があるのです…。
裁判等で不利にならないために、そして万が一の高額な賠償金や被害者の治療費をまかなうためにも、自転車保険には加入しておくべきでしょう。
近年、様々な会社が提供している自転車保険。自身のケガの補償を重視しないのであれば、月々100円から損害賠償補償の付いた自転車保険に加入できます。ほとんどの自転車保険は自転車事故だけでなく日常の事故の補償もしてくれるので、とくに義務化や努力義務化がスタートしている地域の人は早めに加入を検討しましょう!
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義務化の対象になるかどうかを具体例で確認
富山県の自転車損害賠償保険等への加入の努力義務対象者や内容について解説しました。
続いて、具体例を用いてもう少し詳しくみていきましょう。
〇富山県在住ではないものの、来年度から子どもが富山県内の高校に自転車で通う
→子どもに加入努力義務があるため、代わりに保護者が自転車保険に加入するように努める必要がある
多くの高校性は未成年者なので、自ら保険に加入することはできません。そのため、子どもの代わりにその保護者に加入努力義務があると考えられます。
◯自転車で富山県内の大学に通う
→年齢によって加入努力義務の対象が異なる
・未成年者の場合:保護者に加入努力義務がある
・成年者の場合:自分に加入努力義務がある
未成年者の場合は、先ほどの事例と同様の理由で保護者に加入努力義務があると考えられます。一方、成年者の場合は自転車利用者に該当するため、自ら損害賠償保険に加入する努力義務があります。
〇業務の中で自転車を利用する
→事業者に加入努力義務がある
業務で自転車を利用する場合、事業者(会社)側が自転車保険等への加入の努力義務を負います。
〇自転車をレンタルして、黒部宇奈月温泉(富山県)へサイクリングをする
→貸付け業者に加入努力義務がある
レンタル自転車を利用する場合、貸付け業者に加入努力義務があります。
まとめ
平成31年3月1日に施行された「富山県自転車活用推進条例」の自転車損害賠償保険等への加入の努力義務対象者について解説しました。
自転車事故における高額な損害賠償が発生していることから、富山県では自転車利用者に対する保険加入が努力義務化されることとなりました。最後に、富山県の基本理念4つを確認しておきましょう。
① 自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成
② サイクルスポーツの振興等による健康の増進
③ 自転車を活用した観光振興等の推進
④ 安全で安心な交通環境の創出
現在は未加入でも罰則は設けられていませんが、努力義務の対象になっている場合は自分が被害者になった時、あるいは加害者になった時を想定して必ず加入しておくことが大事です。あなたと家族を守るためにも、ぜひこのサイトを活用してより良い自転車保険を選んでくださいね!
富山県の義務化対象市区町村
義務化対象となる市区町村は以下を参考にして下さい。
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