島根県松江市では自転車保険の加入が努力義務として定められてるって知っていましたか?
全国で自転車事故で高額な損害賠償を負うケースが増加していることを踏まえ、島根県松江市は平成26年8月1日に「松江市自転車安全利用条例」を施行しています。

島根県松江市では自転車保険加入が努力義務
近年、自転車事故で高額な損害賠償を負うケースが増加しており、全国では自転車保険への加入を義務化または努力義務化が進んでいます。
そんな中、島根県松江市は平成26年8月1日に「松江市自転車安全利用条例」を施行しました。
この条例によって、島根県松江市では自転車事故を起こした際の賠償責任を補償する保険である自転車損害賠償保険等への加入が努力義務化されることになりました。
島根県では自転車保険の普及が遅れている
ここで悲しい事実が…。
実は、島根県は自転車保険の加入率が全国最低クラスなんです…。
この現状を打破すべく、本記事では加入努力義務の対象者や条例の内容を分かりやすく解説していきたいと思います。

どんな人が努力義務の対象?
島根県松江市が平成26年8月1日に施行した「松江市自転車安全利用条例」では、自転車損害賠償保険等への加入が努力義務とされています。
自転車利用者は基本的に自転車保険に加入する必要あり
その努力義務の対象者は、基本的には「自転車で島根県松江市を走行するかどうか」で決まります。
島根県松江市に住んでいなくても、自転車で島根県松江市を走行すれば対象
対象者 | 義務 / 努力義務 |
自転車利用者 | △ |
保護者 | ー |
事業者 | △ |
貸付業者 | ー |
小売業者 | ー |
※◯:義務 △:努力義務
ただし、自分で加入していなくても、他の人によって加入されていれば加入努力義務の対象にはなりません。
なお、島根県全体では自転車保険加入義務化に関する条例はありません(2020年1月現在)。
自転車に乗る人以外にも努力義務がある?
自転車利用者は加入努力義務
まず、自転車に乗る人は、自分が被保険者となる自転車損害賠償保険等に加入する努力義務があります。
以下に自転車利用者の加入努力義務についての条例を抜粋したので、チェックしてみましょう!
第5条第3項
自転車利用者は、定期的な点検整備及び事故に備えた損害保険への加入に
努めなければならない。
http://www1.city.matsue.shimane.jp/gikai/torikumi/jyourei.data/tikujyou.pdfより引用
「松江市自転車安全利用条例」では、未成年者の場合については言及されていません。
しかし、子どもが判断したり、自転車損害賠償保険等に加入したりするのは難しいので、実質保護者が子どもに代わって加入する努力義務を負うものと考えられます。
事業者は自転車利用者の加入促進に努める必要あり
事業者は自転車を買う人や利用する人に対して、自転車損害保険等に関する情報を提供し、その加入の促進に努める義務を負います。
ポイントは、自転車損害保険等に加入するのはあくまでも自転車利用者自身である点です。
第7条第3項
事業者は、自転車を購入する者又は自転車を利用する者に対して、自転車
損害保険等に関する情報を提供し、その加入の促進に努めるものとする。
他の自治体と比較したいポイントはここ!
島根県松江市の条例には、他の自治体のように小売業者や貸付業者についての言及がありません。そこで条例の解説を見ると、
「事業者」とは、市内に店舗を有し、自転車の小売を業とする者及び自転 車の貸出しを業とする者をいいます。
と記載されているため、小売業者や貸付業者は事業者に含まれていることがわかります。
また、他の自治体の場合は「業務で自転車を利用する企業や自転車を貸し付ける企業は、従業員や利用者が被保険者となる賠償責任保険などへの加入努力が求められる。」とあり、加入に努めなければいけないのは事業者や貸付業者です。
しかし、島根県松江市の場合、事業者は加入の促進に努める義務を負うのみ。あくまでも、自転車利用者が加入しなければならないということです。
もし業務で自転車を利用するなら、自転車保険によっては勤務中の事故が補償対象外となるため、勤務先の会社が自転車保険に加入しているかを必ず確認しましょう。
未加入時の罰則はなし
島根県松江市県では、平成26年8月1日より自転車損害賠償保険等への加入が努力義務化されています。
ここで浮かんでくるのが「加入努力義務の対象になっていることに気付かず、未加入だったら罰則があるの?」という疑問…。果たして、未加入者に対して罰則は設けられているのでしょうか?
自転車損害賠償保険等への加入が努力義務とされている島根県松江市ですが、今のところ罰則は設けられていません(2020年1月現在)。
罰則がない理由は?
その主な理由は、保険に加入しているかどうかの確認が難しいからです。
加入努力義務の対象となるような補償は、自動車保険や火災保険のオプションとして加入している場合があります。
また、自分自身で加入していなくても親や配偶者が「家族プラン」に加入している場合もあるので、それぞれの保険加入を証明することは非常に困難なのです。
罰則はなくても注意点あり
なお、これは島根県松江市に限らず、すでに義務化や努力義務化されている府県についても同様に罰則規定は設けられていません。
このように、自転車保険の加入義務や加入努力義務を違反しても罰則はありませんが、だからといって加入しなくていいという訳ではありません。
ここからは、その理由を確認したいと思います。
未加入のまま自転車事故を起こすと、高額な賠償金を自腹で支払うことに…
ここまで読み進めた人の中には「罰則がないのに、自転車保険に加入する必要性ってあるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
それでは、一度想像してみてください。未加入の状態で自転車事故を起こしてしまったとしたら、高額な賠償金や治療費を自腹で支払わなくてはいけないのです…。
また、保険への加入が義務化または努力義務化されているにも関わらず、条例を違反した状態で事故にあった場合、裁判等で不利になる可能性もあります。
万が一の高額な賠償金や被害者の治療費をまかなうために、そして裁判等で不利にならないためにも、たとえ罰則がなくても自転車保険には加入しておくべきでしょう。
今はさまざまな会社が自転車保険を提供しており、自身のケガの補償を重視しないのであれば月々100円から損害賠償補償の付いた自転車保険に加入できます。
ほとんどの自転車保険は自転車事故だけでなく日常の事故の補償もしてくれるので、とくに義務化や努力義務化がスタートしている地域の人は早めに加入を検討しましょう!
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義務化の対象になるかどうかを具体例で確認
島根県松江市の自転車損害賠償保険等への加入の努力義務対象者や内容について解説しました。
続いて、具体例を用いてもう少し詳しくみていきましょう。
〇島根県松江市在住ではないものの、来年度から子どもが島根県松江市の高校に自転車で通う
→子どもに加入努力義務があるため、代わりに保護者が自転車保険に加入するように努める必要がある
多くの高校性は未成年者なので、自ら保険に加入することはできません。そのため、子どもの代わりにその保護者に加入努力義務があると考えられます。
◯自転車で島根大学松江キャンパスに通う
→年齢によって加入努力義務の対象が異なる
・未成年者の場合:保護者に加入努力義務がある
・成年者の場合:自分に加入努力義務がある
未成年者の場合は、先ほどの事例と同様の理由で保護者に加入努力義務があると考えられます。
一方、成年者の場合は自転車利用者に該当するため、自ら損害賠償保険に加入する努力義務があります。
〇業務の中で自転車を利用する
→事業者:利用者に自転車保険等への加入促進をする努力義務を負う
→利用者:加入努力義務を負う
業務で自転車を利用する場合、事業者(会社)は利用者に自転車保険等への加入促進をする努力義務を負います。
また、利用者は加入努力義務を負います。
まとめ
平成26年8月1日に施行された「松江市自転車安全利用条例」の自転車損害賠償保険等への加入努力義務化について解説しました。
全国で自転車事故の高額な損害賠償が増加しており、自転車保険への加入が重要視されています。自転車保険への加入率が全国最低クラスの島根県では、今後さらに加入義務化や加入努力義務化が進んでいくことが予想されます。
今のところ未加入でも罰則は設けられていませんが、万が一の高額な賠償金や治療費をまかなうためも必ず加入しておきましょう!
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