近年、自転車保険の加入を義務化する地方自治体が増えています。
生命保険(医療保険)に加入している人は多いと思いますが、それを自転車保険として使うことはできるのでしょうか。
今回は自転車保険と生命保険について、分かりやすく解説していきます。
生命保険(医療保険)を自転車保険として使うことはできる?
すでに生命保険や医療保険に加入している人は多いと思いますが、その保険を自転車保険として使うことはできるのでしょうか。
まずは、「自転車保険の加入義務化って何をすればいいの?」という点から説明します。
自転車保険の加入義務化に対応しよう
自転車保険の加入義務を果たすには、事故を起こした時に相手へ損害賠償するための保険に入る必要があります。
具体的にどういうことなのか見ていきましょう。
加害者になるリスクに備えよう
損害賠償補償がついた保険が必要
傷害保険も相手のケガの損害賠償はできない
自転車保険の加入義務化の背景
自転車事故では子供が加害者になる可能性もあります。
過去には、子供が起こした自転車事故で、損害賠償額9,500万円の支払い命令が下ったこともありました。
また、免許を返上する高齢者が増え、自動車の代わりに自転車を利用する高齢者が事故を起こすリスクも増加しています。
こうした背景から、自転車で事故を起こした際に相手への損害賠償責任に備える保険に入ること(自転車保険加入)を義務化する動きが全国的に広がっているのです。
義務化の背景について、詳しくは下のコラムをご覧ください。

生命保険と損害賠償保険を組み合わせよう
他の保険の特約も使える!
損害賠償に対応できる保険は?
損害賠償に対応できる保険としては次のようなものが挙げられます。
- 自転車保険(損害賠償のみプランを含む)(月々100円~)
- 各種保険(自動車保険、火災保険、傷害保険)の特約プランへの追加加入
各種保険に追加する特約プランとしては、「個人賠償特約」や「日常生活賠償特約」などが挙げられます。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0311/jitensya/jitensyajyourei.htmlより引用
生命保険と傷害保険の違い
生命保険は死亡した時に備えるのがメインの保険ですが、自分のケガや病気に備えるためにも使えます。では、傷害保険とはどのような違いがあるのでしょうか。
ここからは、生命保険と傷害保険の特徴や補償内容などについて詳しくご紹介します。
生命保険と傷害保険
生命保険(医療保険)は、「ケガや病気を補償してくれる保険」、傷害保険は「ケガの補償に特化した保険」と言えます。
生命保険(医療保険)のメリット
- ケガだけでなく、病気にも対応できる
- 特約を追加することで、交通事故などによってケガを負った場合も手厚く保障してもらえる
- 状況やニーズに応じて、死亡保障と医療保障を分けて加入することができる
傷害保険のメリット
- ケガのみの保障だから保険料が割安
- 基本的にケガは年齢とは関係がないので年齢が上がっても保険料が上がらない
- 生命保険や医療保険の通院保障と違って入院しなくても通院保障を受け取ることができる
どちらがお得?
生命保険の方が病気とケガのどちらもカバーしているので傷害保険よりも加入するメリットが多いように感じられますが、一概にそうとは言えません。
加入する人の条件やニーズによって、ベストな保険は異なります。
「手頃な保険料で自転車事故によるケガに備えたい」という場合は傷害保険の方が適しています。
一方、「事故だけでなく病気にも備えておきたい」と考えるなら生命保険や医療保険へ加入した方がいいでしょう。
生命保険と傷害保険の両方に加入することも可能です。
自転車保険と生命保険は補償を両方もらえる
自転車事故に遭ってしまった時、相手に過失があると認められた場合にはその分の損害賠償金を受け取ることができます。
さらに、傷害補償がついている自転車保険に入っていれば、ケガを治療するための医療費をカバーすることができます。
生命保険や医療保険に加入している場合は、相手方からの損害賠償金や自転車保険の傷害補償とは別に保険金を受け取ることができます。
つまり、相手の過失で事故に遭ってしまった場合には、保険によって交通事故での損害が穴埋めされるだけではなく、生命保険等によって+αの保障が受けられる可能性があるということです。
ただし、加入する保険の数が増えればそれだけ保険料の支払いも増えることになるので、ケガの補償部分については重複しないように工夫したほうがいいでしょう。
自転車保険は年末調整や確定申告で控除できる?
年末調整で控除の対象となる保険料には、生命保険料、地震保険料があります。
では、自転車保険は年末調整で控除が受けられるのでしょうか。
答えはノーです。
自転車保険や自動車保険、傷害保険などの損害保険については税法上、保険料控除の対象とはならないと定められています。
ただし、生命保険部分については控除対象となります。
生命保険に加入する際の注意点
ここまでの説明で、生命保険だけでは自転車保険の加入義務化に対応できないという事がお分かりいただけたと思います。
自転車保険の加入義務化に対応するためには、損害賠償責任を負った際に補償されている状態になっている必要がありましたね。
生命保険は損害賠償責任には対応できませんが、生命保険に加入することで自分が負ったケガに備えることができます。
ただし、自転車事故のケガに備えるために生命保険への加入を検討する際、一つだけ注意点があります。
それは、「生命保険(医療保険)でカバーされないケガがある」ということです。
生命保険(医療保険)でカバーされないケガとは?
生命保険や医療保険の通院補償は、基本的に「入院を伴う通院の場合」しかカバーされません。
つまり、自転車事故に遭ってケガを負い、通院のみの治療で十分だと診断されると、「補償範囲ではない」と判断されるケースが多いのです。
入院を伴わない通院であっても補償を受けたい場合は、次の3つの選択肢があります。
- 生命保険に「入院が伴わない通院を補償する」という特約を追加する
- 生命保険と並行して傷害保険に加入する
- 通院補償が含まれる自転車保険に加入する
生命保険と傷害保険は重複していても補償は受け取れますが、そこまでの補償が必要でない場合は保険料が無駄になってしまうので無理に両方の保険に加入する必要はないでしょう。
生命保険と自転車保険についてのまとめ
いかがでしたか?今回は、自転車保険の加入義務化と、生命保険・傷害保険の特徴について説明しました。
最後にポイントをおさらいしておきましょう。
ポイントのまとめ
- 自転車保険の加入義務化に対応するためには、対人対物の損害賠償責任補償が必要
- 生命保険や医療保険に入っている場合は、損害賠償責任補償が付いている安い自転車保険を追加すれば、相手のケガと自分のケガの両方に対応できる
- 自動車保険・火災保険・傷害保険に入っている人は特約で損害賠償責任補償を追加することもできる
- すでに自分の入っている保険に損害賠償責任補償がついていることもあるので確認が必要
自転車事故のリスクに備えよう
自転車保険の加入義務化には自分のケガに対する補償は含まれていませんが、ケガに対する補償があれば安心して自転車に乗ることができます。
すでに生命保険などに加入している人は、各種保険を組み合わせて万が一の自転車事故に賢く備えましょう。
各保険プランによって、保障内容が限定されていたり特約が付帯されたりします。
保険加入検討の際には、保険会社のホームページ・重要事項説明書・約款などを必ずご確認下さい。
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