【インタビュー】全日本交通安全協会、長嶋事務局長に聞くサイクル安心保険への想い

「事故は常に背中合わせである」そう話すのが、全日本交通安全協会事務局長の長嶋良さん。

交通事故は誰1人幸せになることはない。不幸にするだけ。

それは被害者遺族だけではない、加害者の家族にとっても経済的負担、そして精神的負担が重くのしかかってくる。

だからこそ悲しい事故は少しでも多く減らさなくてはいけないと、積極的に交通安全の大切さを全国に伝える活動に従事している。

今回はそんな長嶋さんに交通事故の悲惨さ、正しい交通ルールを知る必要性、そして自転車保険の重要性について詳しくお伺いさせていただきました。

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警察官を目指したきっかけは父親の死

―本日は長嶋さんご自身の事から自転車保険についてまで色々教えてください。

長嶋 良(以下:長嶋):こちらこそ宜しくお願いします。私で話せることであれば、色々お答えさせていただきますよ。

―早速ですが、まずは長嶋さんの事について教えてください。長嶋さんは全日本交通安全協会に属す前、長年警察官として活躍されてきたんですよね。

長嶋:はい、昭和53年に茨城県で巡査を拝命し、主に交通部門で勤務しました。昭和63年に警察庁に採用されてからも交通局を中心に勤務しました。佐賀県警本部長として勤務した後に、警察庁交通指導課長を最後に退庁し、現在は全日本交通安全協会事務局長として交通安全の普及・啓発に努めています。

―そもそも警察官を目指されたきっかけはなんだったのでしょうか。

長嶋:まだ幼かった頃に私は父親を交通事故で亡くし、父親の顔の記憶もありません。
父が亡くなったのは昭和31年頃、まだ地元では自動車が1~2台しか保有しておらず、自動車が物珍しい時代でした。今みたいに自賠責保険の制度がありませんでしたので、私の母親はとても苦労していましたね。
その時、子どもながらに感じたことは「交通事故は決してあってはならない。自分のような境遇の人を作ってはいけない!」と思ったのが最初のきっかけでしょうか。

―子どもながらに思うというのは、当時から正義感のある少年だったのですね。

長嶋:そうなんですかね?(笑)学生時代は警備員のアルバイトなど、色々していました。時には泥棒を捕まえたこともありました(笑)。そんなこともあってか、駐在所の方から「警察官になってみないか?」と勧められたとき、即警察官の道に進みました。

―きっと駐在所の警察官の方は、長嶋さんを見て「警察官にピッタリの逸材だ!」と思ったんでしょうね。ちなみにご自身から見て、学生時代はどんな少年でしたか。

長嶋:そうですねぇ、私は農家の長男として生まれましたが、母がとても苦労しながら育ててくれました。だから、少しでも母を楽にさせてあげれたらと思い、学校から帰宅したら畑仕事を手伝ったり、家事も積極的に行っていました。

―子どもの頃から親孝行なお子さんだったのですね。

長嶋:ありがとうございます。子どもの頃からの経験がいきているのか、今でも農業から料理まで一通りのことはできますよ(笑)。ブルドーザーなどの作業免許を持ってますし、何でも興味のあることには積極的にチャレンジしています。

悲しい事故は二度と起こって欲しくない…子どもを守れるのは誰よりもお父さん・お母さんです

―長嶋さんが現職時代、最も印象に残った交通事故はありますか。

長嶋:私が巡査部長時代に携わった交通事故の話です。
3歳の子どもがトラックの後輪に巻き込まれて亡くなった事故ですが、後輪に子どもの頭が踏まれてしまったのです。あの現場はとても悲惨な状況でした。

―それは何とも悲惨な事故ですね…

長嶋:私自身も子どもがいたため、当時その事故を見て絶句…言葉が出ませんでしたね。
私は収容先の病院で看護師さんに「このままではお母さんの元に帰せない」と話し、なんとか処置を施し顔に包帯を巻いてもらいました。包帯は外さずに荼毘に付して欲しいと
お父さんに事情を話しましたが、とてもお母さんには伝えられませんでしたね…

―確かに…私も2歳の息子がいますが、その事実を知ったら立ち直れないですよ…

長嶋:あの事故は本当に今でも鮮明に記憶しています。このような現場を何度も見ていると、交通事故は本当に一瞬だなと感じます。それは車に限らず、自転車でも同じです。

―自転車事故のおよそ6割が「頭部損傷」で死亡していると言われていますものね。

長嶋:そうですね。だからこそ私は、声を大にして言いたいことがあります。自転車利用者の皆さんへ『ヘルメットと反射たすきやベストの着用』を徹底してもらいたいということです。教育の場や、家庭においてもヘルメットと反射たすきやベストなどの必要性をきちんと教えるべきだと考えます。
そして、条例等により、自転車利用者に対してはヘルメットの着用義務を設けるべきだと考えています。そのことは、政府等に対しても要望しています。

―やはり、ヘルメットと反射たすきやベストをしているだけでも全然違いますか。

長嶋:もちろんです!よく「ヘルメットは不要だ!」と不要論を言う方がおりますが、そんなことは絶対ありません。ヘルメットを被るだけでも、万が一の事故の時に被害が軽減され助かる命があります。
ヘルメットは、頭部が直接衝突することを防ぐだけではなく、衝撃を緩和したり外傷を最小限に留めてくれる効果も期待できるんですよ。
高齢者が転倒した際ヘルメットを被っていれば重傷を負うようなことがなかったという事故のお話も多く聞いております。
また、夕方や夜では車の運転者から歩行者や自転車は見えづらく、発見が遅れることから交通事故に繋がりやすくなります。しかし反射たすきやベストなどを着用しているれば運転者に早く気づいてもらうことができるので、交通事故の防止に繋がります。

―ヘルメットと反射ベルトの着用を義務化すべきということですが、今現在学生さんたちを見ても被っている人を殆ど見かけないですものね。

長嶋:私が佐賀県警に勤務していた頃、教育委員会に対して学校の校則にヘルメットと反射たすき等の着用を義務付けるべきと要望したことがあります。部活などで帰宅する頃には、辺りは薄暗くなっていて事故が発生しやすいですからね。交通事故から子どもたちを守るためにも、校則等で義務付けることが必要だと。
また各都道府県の条例でも、学校関係で「ヘルメットを着用しましょう」と努力義務にしている自治体も増えてきているんですよ。

―各自治体や教育委員会でもっと広がってくれればいいですよね。

長嶋:そうですね。そのことで、子どもたちを悲惨な事故から守ることにもなりますからね。同様に、小さなお子さんがいるお父さん、お母さんたちにもそのことを伝えたいですね。

―それはどうしてですか。

長嶋:保育園の送り迎えを見ていると、子どもたちはヘルメットを被っていますが、親御さんが被っていないんですよ。だからお父さん、お母さんたちにもヘルメットを被る習慣を付けて欲しいと思います。

―ヘルメットの着用は子どもだけと認識しているお母さん方が多そうですよね。

長嶋:ヘルメット着用の必要性が浸透されていないんですね。お子さんにはきちんとヘルメットを着用させてたとしても、肝心のお母さんたちが着用していない。万が一、事故に遭った場合にお子さんが助かっても、お母さんがとんでもないことになったら…、残されたお子さんの気持ちやその後のことを考えて欲しいなと思います。万が一お母さんが死んでしまったら、お子さんは辛いですから…。

―お母さんたちも意識を変えて行かないといけないですね。

長嶋:そうです。各都道府県の警察では、保育園等での交通安全教室の際に保護者の皆さんにもルールを守るようお願いしているのですが、交通安全教室後の帰宅時に信号無視をしたり、歩道を歩行者の間をかき分けて走っている方もいますからね。本当に意識を180度変えていかなくてはいけないと思います。

―いい大人が自転車マナーを守れないのは、子どもたちの教育上もよくないですものね。

長嶋:はい。子どもたちは学校に入学する前から道路に出るので、「交通安全教育は家庭から」です。家族全員で安全について語り学ぶべきと考えます。例えば小学生が自転車で走行中、人にぶつかって重傷を負わせた場合は親に損害賠償責任が生じることになります(民法714条)からね。

―確か、平成20年兵庫県神戸市で起きた自転車事故では、自転車事故を起こした少年の母親が約9,500万円という高額賠償が命じられた事例がありましたね。

長嶋:未成年が起こした事故などは、保護者の監督義務がきちんと果たしていなかったと見なされることがあります。この事故は被害者の方はもちろんのこと、加害者の方もきっと大変な思いをしたと思います。

―1億円近いお金を一般家庭が支払えと言われても到底無理ですものね。

長嶋:実はこういう事故は沢山あるんですよ。自転車事故に対応した損害賠償保険に入っていないがために、大変な思いをしなくてはならなくなります。
私は以前、脳損傷による重度後遺障害者の方々が治療を受けている「療護センター」を訪問しましたが、そこには交通事故で寝たきりになった方が何人もおりました。
もしも被害者の方がそのような状態になってしまったら…。加害者が子どもだったら…加害者側の親はどう思うでしょうか…。だからこそ、交通安全教育は家族全員で行うべきなんです。

―家族全員できちんと交通ルールについて話し合う必要がありますね。

長嶋:そうですね。交通ルールは家族全員で学ぶことが大切です。それは家族を守るためにとても大切なことです。被害者になっても、加害者になっても、悲惨です。親は子どもに対してしっかり交通ルールを教え、親自身もそれを実践する。親の責任として教えていく必要があると言えますね。

自転車事故は子どもだけではない!中高年~お年寄りによる自転車事故が増えている

―自転車事故は16歳未満の未成年者が多いと言われていますが、お年寄りの自転車事故などは増えているのでしょうか。

長嶋:高齢者による歩行者、自転車事故は年々増加傾向にあります。50~60代の方々も多いですよ。

参考:警視庁 高齢者の交通事故発生状況(令和元年6月末)
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/jokyo_tokei/tokei_jokyo/vta.files/senior.pdf

―確かに、前年比で155件(+13%)も高齢者の自転車事故が増えていますね。 中高年以上の自転車事故が増加傾向にある理由は何かあるのでしょうか。

長嶋:近年、お年寄りによる自動車事故が増えており、例えば、アクセルとブレーキの踏み間違えや逆走運転などが報道されていますね。

―テレビのニュースなどで頻繫に流れていますよね。

長嶋:運転免許を返納する高齢者が増え、交通手段の1つであった大事な足(車)がなくなる。そうなると、必然的に自転車を利用する人が増えてきたというのが理由の1つだと思います。

―自転車による事故で1番多いのはどんな事故でしょうか。

長嶋:自転車が関係する事故で多いのは、「車と自転車」の衝突事故ですね。しかし自転車が加害者となる事故も発生しており、特に「自転車と歩行者」や「自転車の転倒事故」も多くなっています。
高齢者の自転車利用者の方が被害者になる場合もありますが、加害者になることも多いです。ニュースでは若者がよく取り上げられていますが、決してそうではないのです。

警察官時代から感じていた熱い想い

―長嶋さんは、警察庁に来てから交通局で交通安全関連業務を長く担当されていらしたんですよね。幼少期の辛い過去もありますが、どんな想いで交通安全部門を担当されていらしたのでしょうか。

長嶋:そうですね、交通事故を減らすのはもちろんですが、交通事故の被害者や家族・遺族の方、加害者の家族の方をどうするべきかずっと自問自答していました。

―それは具体的にどのように考えていらしたのでしょうか。

長嶋:自動車の自賠責保険の制度は、私の父親が亡くなった2年後にできました。当時自動車による交通事故が急激に増え、被害者救済意識が高まったからだと思います。しかし、自転車に関してはどうでしょうか。自転車は車両であるにも関わらず、損害賠償保険の制度がないんです。これは、どうにかしなくてはいけないなと思ったんです。

―そこから「自転車保険を作ろう!」と思ったのですか。

長嶋:そうですね。今から約20年前になるのですが、自転車保険を作りたいと保険業界の方に開発をお願いしたことがありました。しかし当時は、なかなか保険商品としての機能を果たすことができず、お蔵入りになってしまったんです。

―そうだったのですね。今になってやっと、自転車保険の重要性が認知されてきていますが、20年前となると「自転車に保険?いらないよ」と思う人が多かった時代ですよね。

長嶋:自転車=軽車両、車の仲間だという意識は今よりも低かったですからね。
でも交通事故などの現場を見ていると、交通事故の被害者、遺族の方が大変な思いをしていたんです。それを見て、なんとかしなくていけない!被害者対策が必要だと強く感じました。
一方で加害者家族も同じ。経済的負担や精神的負担を負っている方が沢山いました。だからこそ、きちんと自転車保険は作るべきだ!って感じましたね。

―それが今の『サイクル安心保険』に繋がっていくわけですね。

長嶋:そうです。自転車が加害者となる事故に対応した保険を作るべきと感じ『サイクル安心保険』が生まれました。そうしないと、自転車事故における被害者や加害者を救うことはできないですからね。

国籍、年齢問わず誰でも気軽に入れる自転車保険を…それが『サイクル安心保険』である

参照:サイクル安心保険

―まずは、サイクル安心保険という保険はどんな保険なのか教えてください。

長嶋:自治体が進めている自転車保険加入の義務化の流れの中で、国内にいる全ての方を対象にした保険にしたいと考えました。そのため、サイクル安心保険は国籍・年齢を問わず安価に誰でも気軽に加入ができる自転車保険となっています。プランは全部で3つです。いずれも自治体が定める条例に対応した損害賠償保険になっています。

―プランAはどのような保険内容となっているのでしょうか。

長嶋:プランAは、損害賠償のみに特化した保険です。例えば、交通事故により相手方にケガを負わせたり、相手の物を壊した際に最大1億円まで補償されます。更に、相手方との示談交渉サービスも付いていますので、被害者と加害者が直接やりとりを行うよりも第三者である保険会社が間に入ることで双方円満な事故解決に繋がると言われております。これらにより万が一のときの経済的・精神的負担も和らげることができます。

―この補償内容は、加入者1名だけが補償される内容なんですか。

長嶋:いいえ、同居の家族全員及び別居の独身の子が補償の対象です。

―お子さんがいるご家庭は嬉しいですね!

長嶋:はい、ちなみにプランA以外のプランB・Cに関しても損害賠償責任は同様です。

―それはありがたいですね!でも気になるのは保険料…家族全員が補償され、尚且つ最大1億円の賠償責任が補償されるとなると、保険料も高いのではないかと思うのですが…

長嶋:年間の掛金は1,230円から始められますよ。※1

※1.Web申し込みの場合

―年間1,230円!1か月あたり103円ってかなりお安い掛金で始められるんですね。他社の自転車保険に比べて圧倒的にお安い掛金ですが、なぜここまで安く設定したのですか。

長嶋:「自転車も車両である」ということから、自動車と同じように強制保険を導入すべきだと考えていた1人です。しかし強制保険にすると、国民に対する負担が大きくなってしまいますよね。
今、原動機付自転車の保険料は年間7,500円ほどですね。もし自転車を同じように強制保険化にすると、新たに登録制度を設けなければならないなどのことから保険料が年間6,000~7,000円ほどになってしまう可能性があります。1万円の自転車に乗っている人にしてみたら、自転車の価格に近い保険料を毎年負担することになってしまうんです。
そこで強制義務ではなく、各自治体の都道府県の実情に合わせた条例に基づき、住民の方に対して保険の加入を促す。そのために安く加入できる保険が必要であると考えたんです。結果として、加入率が高くなれば良いと思っています。

―「誰でも気軽に自転車保険に加入できる保険料を」ってことですね!

長嶋:そうですね。条例で損害賠償保険への加入が義務化された時に自転車利用者の負担を低く抑えた、条例を満たす保険を作る必要があると考えた結果がサイクル安心保険なんです。
また他の自転車保険を見てみると国籍を制限したり、年齢制限のあるものもありますが、サイクル安心保険は国内居住する方であれば国籍・年齢問わず、誰でも加入ができるようにしています。
やはり「外国の方だから」「高齢者だから」という理由で入りたくても入れないということになると、結果として被害者は救済されません。誰でも平等にできる世の中を作るのが社会的に必要だと考えますね。

―賠償責任の補償額が最大1億円の理由は、平成20年起きた兵庫県神戸市の事例からですか。

長嶋:賠償責任の補償額を1億円と決めた1つの理由としては、兵庫の事例からというのもあります。検討の段階では、2億円以上にすべきではという意見もありました。
しかし、一般的な事故例や条例を制定・促進すること、そして加入率を高めることを目的とするならば掛金を年間1,000円程度に抑え、まずは損害賠償補償額を1億円としたできるだけ安価な保険を提供しようと考えた訳です。

―また他社の自転車保険の中には、損害賠償責任に対する補償額が最大1,000万円のものもあります。これについてどのように思われますか。

長嶋:個人的には1,000万円では足りないと思いますね。骨折して入院・手術をした場合、交通事故は自由診療なので数百万円以上の治療費が発生することもあるんです。また、相手側が長期入院や後遺症が生じた場合、治療費の他にも休業補償など含めると、とても1,000万円では足りません。最低でも1億円は必要だと思いますね。

―健康保険で負担されたとしても、医療費って意外と高いですものね…それが自由診療となると、被害者のケガの具合によっては1,000万円は超えそうですよね。

長嶋:そうですね。サイクル安心保険に加入している保護者の方から「この保険に入っていて良かった」と言われたことがありますよ。

―それはどんなことですか。

長嶋:お子さんが自転車に乗っている時、誤って高級な車に傷を付けてしまい80万円近い損害賠償を請求されたことがあったようなんです。とはいえ、直ぐに80万円なんて出せる金額ではありませんから、保険に入っていて本当に良かったと安堵されていましたよ。

―確かに80万円って高額な金額、そうそう払えませんよね。

長嶋:いつ、何が起きるか本当にわかりませんからね。身体や物に対する損害賠償が補償されるのはありがたいですよね。
ところで、条例で自転車保険の加入が義務化されたとしても罰則はありませんよね。
しかし条例で加入義務を定めると、交通事故の被害者が損害賠償を請求したり、民事訴訟を起こすための1つの材料(根拠)にもなり得るんですよ。

―民事訴訟を起こす1つの材料ですか。

長嶋:そうです。もちろん民法で損害賠償責任が定められていますが、条例で「保険に加入しなくてはならない」などと規定されると、被害者は加害者に対し、条例を根拠に「加入していますか?条例に加入義務が定められていますよね?」と言及することも可能になりますよね。特に条例に損害賠償保険への加入義務を規定している自治体の住民の方はこのことを認識して欲しいと思います。

―万が一のときに相手の損害を補償することは重要なことですよね。

長嶋:自転車が加害者になる事故では刑事責任も問われます。自転車事故で相手の歩行者が死亡した事案の刑事事件で、被害者の遺族に対する損害賠償がなされることが減刑理由になった例もあります。そういう意味でも万が一に備え、相手方に対する賠償責任を果たすための保険に加入しておくことはとても重要なことなんですよ。

サイクル安心保険の今後の課題について

―サイクル安心保険には「Aプラン」「Bプラン」「Cプラン」の3つのプランを設けていらっしゃいますよね。B・Cプランにはケガの補償が付いていますが、なぜ通院補償は設けなかったのでしょうか。

長嶋:私たちがこの自転車保険を作った本来の趣旨は、条例が求めるものは何かということです。
条例では『自転車事故の相手方(被害者)に損害を賠償することができる保険に加入しなさい』という趣旨で義務付けています。つまり、条例が求めているのはサイクル安心保険でいうとA・B・Cプランの基礎として共通して設定している賠償責任補償なのです。
その上で、B・Cプランはまだ傷害保険に加入していない人向けに死亡や入院補償を追加したものなんです。
一般論ですが、自損事故(単独事故)の場合であれば健康保険が使えますし、それでも心配ならば傷害保険等に入れば良いと思います。自動車との交通事故の被害に遭った場合は、加害側の損害賠償保険で対処できます。自転車利用者の方が相手側に危害を与えたり、相手の物を壊してしまった加害者の立場で補償することを考えているのが、私どもの保険なんです。
つまり、条例に適した自転車保険を皆さんにおすすめしているということです。

―保険会社としては通院補償を押している所が多く散見され、中には損害賠償を入れていない保険もあります。自転車保険などの保険に加入する際、どうしても消費者は通院補償に目が行きがちです。そうなると、消費者や各保険会社と条例の考えが噛み合っていないと感じるのですが、そのあたりはどのようにお考えですか。

長嶋:いろいろな考え方はあるかと思いますし、加入者側のニーズもあろうかとは思います。私どもは、とにかく条例を満たしたできるだけ安価で誰でも加入できる保険を作ることだったんです。そうしないと加入義務条例の制度が進まないし、加入率も向上しないため被害者救済も進まないからです。

―今後、自転車保険の補償内容を見直されることも出てくるかとは思いますが、その際どのような問題点を解決していこうとお考えですか。

長嶋:基本のAプランを残した上で全体のニーズをみながら考えたいと思います。
現状では、サイクル安心保険の加入者年齢は、全体の1/4(約25%)が65歳以上です。Aプランに加入している人も多いですね。その点では、Aプランを作った趣旨が活かされているなと思っています。
車との事故の場合、相手側(車側)の保険で補償されるのですが、自分で転倒した場合などに対応した傷害保険に加入していないと、自身のケガに対する補償は受けられません。高齢者を含めた自転車利用者に対して、傷害保険の範囲をどうするか、どれだけ負担を軽減することができるかということではないかと考えています。

―交通手段のない人や年金や生活保護で暮らしている方にとっては、できるだけ安くて安心ができる自転車保険がほしいですものね。

長嶋:そうですね。地方によっては車がない、バスは滅多に通らないとなると、自転車しか交通手段がありません。また年金生活などでは、自由に使えるお金も限りがあります。その中で保険をやりくりするとなると、とても大変ですよね。
だからこそ、誰でも気兼ねなく加入ができる自転車保険は必要と考えています。
Aプランであれば、年間ネット申し込みで1,230円、郵送申込みで1,430円です。1か月あたり103円から始められるため、あまり家計の負担にならないと思いますので、ぜひ老若男女問わず加入を検討して欲しいと思いますね。


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自転車保険を選ぶ上で必要なこと『賠償責任の補償有無の確認』。そして加入後は家族への情報共有が大切!!

―自転車保険の加入率が年々増加傾向にありますが、各保険会社から多数の自転車保険が販売されていることから「何がよいのかわからない」と思う方もいるかと思います。長嶋さんの視点から考えると、何を基準にして自転車保険を選べばよいのでしょうか。

長嶋:自転車保険の選び方は、その人その人の視点によって異なりますよね。
私どもの「サイクル安心保険」の場合は、義務化に対応する安価で入りやすい保険を皆さんに提供することが第一と考えています。
お客さまにはまず、今自分がどのような保険に加入しているのか、特に加入している保険の中で自転車事故に対応する賠償責任補償の有無を確認して頂きたいです。また、傷害保険の加入の有無についても確認したうえで、損害賠償のみのタイプ(Aプラン)なのか、傷害補償を付けるのか(B・Cプラン)などを検討して頂きたいです。
そして保険については、家族で情報共有して欲しいと思います。

―ちなみに長嶋さんのご家庭では、家族で情報共有をされていらっしゃるのですか。

長嶋:もちろんしていますよ。私の家の場合は、自分の家族と別居している独身の子に保険加入者票のコピーを写メで送り、お互いに共有しあっています。

―写メで撮っておくとは画期的ですね!それならいつでも確認できますね!

長嶋:そうですね。共有すると言うことは、自転車保険に入っているということを知るだけではなく「気を付けなさい」という一言にも繋がり、気が引き締まるんですよ。知っている、知っていないでは全然違いますから。ぜひ皆さんのご家庭でも参考になさっていただきたいなと思いますね。

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―ありがとうございます。ここからは、全日本交通安全協会の取組についてお聞かせください。

全日本交通安全協会としての取り組みについて

―全日本交通安全協会としての自転車の安全対策への取り組みを教えてください。

長嶋:全日本交通安全協会では、子どもたちに自転車の安全や乗り方に関する知識と技術を身に着けてもらい交通事故を防止することを目的に毎年、交通安全子供自転車全国大会を主催しています。各都道府県の大会で優勝した小学生たちが全国から集まり、学科テストと実技テストの2つで競い合います。

―私も県で開催した自転車コンテストに参加したことがあります。これって全国でも行われていたんですね。

長嶋:今回で54回目になりました。全国大会はまだ行っていませんが、高齢者の自転車安全大会を各都道府県の交通安全協会が行っています。

―年齢問わず、正しい交通ルールの知識を学んでもらう取り組みということですね。

長嶋:そうですね。各都道府県や警察の方でも自転車安全教室等の取り組みを行っています。私どもからはそのための資機材として自転車シミュレーターや交通安全教育用機材等を提供しています。
自転車シミュレーターは、室内でできるものなので雨の日でも学べますし、子どもたちがそれを使って楽しみながら自転車の安全な乗り方を学んでいますよ。

引用:つくばスタイルブログ:しく学んで、正しく乗ろう♪夏休み自転車交通安全教室 自転車シミュレーター

―長嶋さん、全日本交通安全協会のホームページで気になったのがあるのですが、おしゃれなヘルメットとして「カポル」と言う自転車ヘルメットも販売されているんですよね。

長嶋:ご覧いただきましたか!ありがとうございます。私どもが推奨しているヘルメットですよ。

―どんなヘルメットなんですか。

長嶋:色々なヘルメットが販売されていますが、主婦や高齢者などが、日常生活で気兼ねなく被れるヘルメットがなかったように思います。この「カポル」は、デザイン性とヘルメットの安全性が1つになったヘルメットなのです。

―確かに競技用のヘルメットや、お子さん向けの可愛らしいヘルメットは街角などで見かけますけど、普段大人でも気軽に被れる自転車用ヘルメットってないですよね。

長嶋:自転車用ヘルメットと聞くと、工事現場で被るようなヘルメットをイメージする方が多く「カッコ悪い」と思いがちなんですけど、カポルは着せ替え式なので数種類のデザインからアウター(帽子部分)を選べるのでファッション性にも優れているんですよ。

―ちなみに安全面は大丈夫なのでしょうか…

長嶋:もちろん、安全性にも優れています。自転車先進国であるヨーロッパの厳しい安全基準であるCE基準に適合しております。そのため安全性が高く、安心してお使いいただけます。

―それなら安心して使えそうですね!

長嶋:そうですね!ぜひ、自転車に乗られる方、老若男女に使っていただきたいと思います。特に幼稚園や保育園の送迎をする保護者の皆さんにも是非被っていただきたいですね。

【自転車ヘルメット『カポル』についてはコチラから⇒自転車用ヘルメット「カポル」

―その他、全日本交通安全協会としてはどのような取り組みされますか。

長嶋:私どもは、交通安全教育を推進するために『交通安全ブック』などの教材などを作成・発行し、交通安全意識の普及活動を行っています。幼稚園や保育園、小中学校、高齢者など年齢を問わず、交通ルールやマナーを身につけていただき、交通事故のない世の中を作り上げていきたいと考えています。

参照:一般財団法人 全日本交通安全協会

全国の子どもたちに正しい交通ルールを学んでもらいたい!【全国各地に安全をPR】

―長嶋さんご自身としては、今後どのような働きかけをしながら交通安全のことを伝えていきたいですか。

長嶋:自転車を利用する全国の子どもたちに『自転車安全教室』という小冊子などを活用して正しいルールを学んでもらいたいと思っています。
また、全ての道路利用者の方々に交通ルールを周知・徹底していきたいです。そのためには分かりやすい教材を作り、そして各都道府県の交通安全協会や警察と協力しながら広報・啓発活動に努めていきたいと思っています。
さらには政府の自転車活用推進本部等との連携も深めていきたいですね。

―最後にここを読まれている方へメッセージをお願いします。

長嶋:交通事故は、いつどこで起こるか分かりません。自分が被害者にも加害者にもなりえるのです。
だからこそ『私たちは交通事故と常に背中合わせである』という事を念頭において、日々を過ごしていただきたいと思います。自転車に乗る場合は必ず交通ルールを守り、自転車保険の加入やヘルメット・反射たすきなどの着用を行って欲しいですね。
自分と家族の命を守れるのは、あなた自身ですから。

◆プロフィール◆
長嶋 良(Ryo Nagashima)
出身地:茨城県桜川市
趣味:アマチュア無線、バイク、料理
HP:長さん’s Family Home Page
ブログ:気の向くままに、言いたい放題
「手軽で時短にできる料理を」と、男性でも簡単に作れる料理レシピをクックパッドにて公開中!(rnaga99のキッチン)この時期は、柿プリンがおすすめだそうですよ♪